ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は12月10日、2019/20年度(10月〜翌9月)第3回目となる主要穀物の生産状況等調査結果の要約版を、同19日に州ごとの分析や細かい講評を加えた完全版を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2作・第3作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。これによると、穀物合計では作付面積、単収がともに前年度を上回る見込みから、生産量も前年度を上回る見込みとなった(表19)。
トウモロコシの生産量は、前年度比1.6%減の9840万9300トンと、CONABが統計を取り始めて以来、最高となった前年をわずかに下回る見込みとなった(表20)。しかしながら、前回公表と比べて作付面積が増加する見込みとなったことから、減少幅は縮小した。
第1作トウモロコシの生産量は、前年度比2.6%増の2631万2700トンと見込まれている。主要生産州(上位5州)全体の生産量は同2.5%増とわずかに増加すると見込まれている。南部のパラナ州では播種が完了したものの、相場の高い大豆の作付けが増加傾向であることから、作付面積は同6.6%減と見込まれている。また、少雨により播種作業は遅れたものの、前年の単収が高温・乾燥により落ち込んだ反動から単収は同2%増と見込まれている。中西部では、輸出の増加や地域内での堅調な需要が価格を下支えしていることから、生産者は作付面積を増やしており、生産量は増加すると見込まれている。ゴイアス州においては、11月下旬の降雨が比較的少なかったことから、播種が急速に進んだ。
また、第2作および第3作トウモロコシの生産量は、それぞれ同3.1%減の7093万6500トン、同5.1%減の115万9800トンと見込まれている。ただし、今回の報告では、まだ作付面積の予測が行われておらず、前年度並みに仮置きされており、春植えの夏期作物(大豆・トウモロコシ)の生産状況を受け、今後、徐々に見通しが判明する見込みである。
一方、大豆については、作付面積および単収の増加傾向が続いていることから、同5.3%増の1億2109万1800トンと過去最大の生産量を記録する見込みとなった(表21)。堅調な相場により生産者の作付意欲が高く、公表回を追うごとに作付面積が増加していることから、生産量もさらに記録を更新する見込みとなっている。
(調査情報部 山口 真功)