令和元年12月の生乳生産量は、61万6005トン(前年同月比1.1%増)と前年同月を4カ月連続で上回った(図18)。
地域別に見ると、北海道は34万3255トン(同3.0%増)と10カ月連続で前年同月を上回った。一方、都府県は27万2750トン(同1.2%減)と引き続き前年同月を下回った。
用途別処理量を見ると、牛乳等向けは31万7391トン(同0.9%増)、乳製品向けも29万5008トン(同1.3%増)といずれもわずかに増加した(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。また、乳製品向けのうち脱脂粉乳・バター等向けも、チーズ向けの減少などから、14万6698トン(同1.6%増)とわずかに増加した(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
Jミルク、2年度の需給見通しを公表
一般社団法人Jミルクが令和2年1月31日に公表した「2020年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」によると、令和元年度の生乳生産量は、4年ぶりの増産となる735万9千トン(前年度比1.1%)2年度の生乳生産量は、2年連続の増産となる747万2千トン(前年度比1.5%増)の見通しとなった。特に北海道は初の400万トン台となる見込みである。
2年度の見通しを地域別に見ると、北海道については、これまでの性判別精液の活用などによる後継牛確保の取り組みなどを受けて、昨年と同様に、生乳生産の主力となる2歳以上頭数の増加が見られることから、423万1千トン(同3.3%増)と見込んでいる。
一方、都府県については、これまで減少が続いていた2歳以上頭数が2年度下期から微増するため、減少幅が縮小し、324万1千トン(同0.7%減)と見込んでいる。特に、将来の生乳生産を担う0歳から2歳以下の乳用牛頭数が増加すると見込まれることから、3年度以降の増産に期待が持てる状況となっている。
脱脂粉乳・バター向け処理量については、生乳の増産に伴い増加する見通しであるが、バターは生産が需要を引き続き下回る一方で、脱脂粉乳は生産と需要がほぼ均衡し、在庫が高水準で推移すると見込まれている。
2年度の輸入枠数量、バター2万トン、脱脂粉乳4000トン
上記のような状況を踏まえ、農林水産省は令和2年1月31日、機構による国家貿易について、2年度全体で、バターについては前年度と同量の2万トン、脱脂粉乳については前年度から1万6000トン減の4000トンの輸入枠数量を設定したことを公表した。機構は、今回設定された数量を分けて、基本的にはバターは毎月、脱脂粉乳は需給状況に応じて輸入入札を実施する。各メーカーなどは輸入原料調達の予見性が高まることで製品生産の年間計画を立てやすくなり、引き続き安定した需給が期待される。
(酪農乳業部 廣田 李花子)