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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2020年3月号

2年の鶏卵卸売価格、初値は前年を上回る160円

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 令和2年1月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり170円(前年同月比49円高)と、4カ月連続で前年同月を上回った(図19)。
 
 
 1月の鶏卵相場は、例年、年末年始にかかる加工業者や量販店の休業などにより、生産地に滞留した鶏卵が年明けの営業再開に伴い一斉に流通するため、初値が大幅に下落する。その後、加工業者などによる買い入れが進み、荷余り状況が解消することにより、価格が相場安から回復に向かう傾向がある。
 2年の初値については、元年12月の終値より70円安の同160円からのスタートとなり、前年の初値(同100円)を大きく上回った。その後、1月の鶏卵相場は中旬以降に上昇し、月末には同180円まで回復した。
 2年の初値が元年の初値を大きく上回った理由として、平成30年12月の相場の低下などにより令和元年の初値が低水準であったこと、2年は成鶏更新・空舎延長事業の実施などの生産調整や台風被害による生産量の減少から、年末年始に産地に滞留する在庫が前年に比べて少なかったことが挙げられる。
 今後については、供給面では、生産調整後に再導入された採卵鶏による産卵開始が春先まで続くため、生産量は増加傾向で推移すると予想される。また、需要面では、決算期を控えた量販店による特売実施に向けた引き合いの高まりが見込まれるため、相場は例年通り春先に向けた回復が期待される。

元年の鶏卵の年間購入金額、3000円台を維持
 総務省の「家計調査報告」によると、令和元年(1〜12月)の全国1人当たりの卵の購入数量は10.7キログラム(前年同期比0.3%減)と前年並みとなった。一方、購入金額は3091円(同2.5%減)と前年を81円下回ったものの、平成27年以降は3000円台で推移している(図20)。
 

 近年の生産拡大を背景に、業界関係者により積極的な消費拡大に向けた取り組みが進められていることから、今後も好調に推移することが期待される。

30年の鶏卵産出額は4812億円、前年から466億円減
 令和2年1月15日に農林水産省が公表した「平成30年農業総産出額及び生産農業所得」によると、平成30年の鶏卵の総産出額(全国)は4812億円(前年比8.8%減)と前年を下回った。これは、近年、家計消費量が増加傾向にあることを背景に生産拡大が続き、30年の鶏卵相場が低水準で推移したことが要因とされている。
 都道府県別の産出額を見ると、上位5県は、茨城県が449億円(全国シェア9.3%)、千葉県が341億円(同7.0%)、鹿児島県が263億円(同5.4%)、岡山県が244億円(同5.0%)、広島県が231億円(同4.8%)となった(図21)。また、上位5県の産出額の合計は、前年に引き続き全国の3割以上を占めた。
 
 
 なお、これらの県は、穀物輸入量の多い鹿島港、志布志港や水島港が近いことから、飼料の調達や物流面で他県に比べて優位性があるとされている。広島県と岡山県については、西日本豪雨による物流の混乱から飼料供給の遅延などが心配されたものの、上位5位を維持する結果となった。
 
(畜産振興部 郡司 紗千代)