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海外の需給動向【牛肉/ウルグアイ】 畜産の情報 2020年5月号

2019年の牛肉生産量、減少に転じる

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2020年の牛肉生産量も減少の見込み
 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、ウルグアイの牛肉生産量は堅調な輸出需要などを受け、2018年まで増加基調となっていた。しかしながら、2019年はトルコへの生体牛輸出が近年積極的に行われたことに伴う飼養頭数の減少などにより、前年比4.7%減の56万8000トン(枝肉重量ベース)と減少に転じた(図14)。また、2020年も同2.8%減の55万2000トンと減少が続くと予測されている。
 

 
中国向け輸出は引き続き堅調
 ウルグアイ中央銀行によると、2019年の牛肉輸出量(製品重量ベース)は、生産量減少の影響もあり、過去最高となった前年をわずかに下回る32万5061トン(前年比0.2%減)となった(表4)。

 
 輸出先国別にみると、最大の輸出先である中国向けが、堅調な国内需要が続いていることに加え、同国で発生したASF(アフリカ豚熱)に伴う代替需要の増加を背景に輸入を増やしたことから、前年比24.5%増の22万8887トンと大幅な増加となった。一方、ロシア向けについては、同96.0%減と大幅に減少した。この背景としては、2017年12月から2018年10月にかけてロシアがそれまで主要輸入先国であったブラジルからの輸入を衛生上の問題により停止していたことから(注1)、一時的にウルグアイ産牛肉への引き合いが強まったものの、再開後にブラジルからの輸入に一部戻ったためとみられる。また、EU向けは、ヒルトン枠(EU規則593/2013)と高級牛肉無税枠(同481/2012。QUOTA481)(注2)での輸出が大半を占めている。EU域内での新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う影響などから、毎年98%以上で推移していた同枠の消化率は今年度は前年同期と比べて低調となっている(表5)。2019年2月7日に輸出が解禁された日本向けについては、一部レストランチェーン店で新メニューとして採用され、販売が好調であったことなどから毎月コンスタントに輸出されており、順調なスタートとなった。

 
 なお、現地報道によると各国でのCOVID-19の拡大に伴う需要減少により、輸出への影響が懸念されている。ウルグアイは国内生産量の大半を輸出に仕向けていることから、今後の動向を注視していく必要がある。

(注1) ロシアのブラジル産牛・豚肉の輸入停止と再開の詳細については、海外情報「ロシア向け牛・豚肉の輸出停止に伴う現地の反応(ブラジル)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002090.html)、「ロシアがブラジルからの牛肉および豚肉の輸入を再開(ブラジル)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002325.html)を参照されたい。
(注2) ヒルトン枠は、EUにおける高級牛肉の低関税輸入枠のことで、放牧肥育であることなどが条件とされている。QUOTA481は、同じく高級牛肉の無税枠で、一定期間の穀物給与などが義務付けられている。

2019年の生産者出荷価格は高値で推移
 ウルグアイ食肉協会(INAC)によると、去勢牛の生産者出荷価格は上昇基調となっており、2019年11月最終週には1キログラム当たり4.339米ドル(477円:1米ドル=110円)となった(図15)。近年、トルコへの生体牛輸出が増加し、と畜頭数の約2割に相当する頭数が輸出されていることから、飼養頭数が減少していることが背景にあるとみられる。また、上述の通り中国向けの牛肉輸出が堅調に推移したことも要因の一つであると考えられる。


 
(調査情報部 山口 真功)