1 令和2年3月の牛肉生産量(部分肉ベース)は、2万5572トン(前年同月比3.1%減)と前年同月をやや下回った(図1)。品種別では、和牛は1万1190トン(同3.8%減)と前年同月をやや下回り、交雑種も6543トン(同6.5%減)と前年同月をかなりの程度下回った一方、乳用種は7401トン(同0.2%減)と前年同月並みとなった。
なお、過去5カ年の3月の平均生産量との比較でも、3.5%減とやや下回る結果となった。
2 3月の輸入量は、前年3月の輸入量がTPP11による税率の引き下げを見越して、輸入業者が一部の通関を先送りしたことなどにより少なかったことに加えて、本年は為替の影響により輸入業者が予定していた4月分の通関を3月に前倒したことなどから、冷蔵品は2万4897トン(同11.3%増)と前年同月をかなり大きく上回り(図2)、冷凍品は、2万2616トン(同34.7%増)と前年同月を大幅に上回った(図3)。この結果、全体では4万7577トン(同21.2%増)と前年同月を大幅に上回った。
なお、過去5カ年の3月の平均輸入量との比較でも、冷蔵品は23.2%増、冷凍品は15.9%増と、ともに大幅に上回る結果となった。
3 3月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は、203グラム(同5.4%増)と前年同月をやや上回った(総務省「家計調査」)。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による外出の自粛に伴う外食需要の減退などによるものとみられる。
3月の外食産業全体の売上高(同17.3%減)は、前年同月を大幅に下回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち食肉の取り扱いが多いとされる業態でも、ハンバーガー店を含むファーストフード洋風が同0.9%減とわずかに、ファミリーレストラン焼き肉が同6.7%減とかなりの程度、牛丼店を含むファーストフード和風も同7.2%減とかなりの程度、いずれも前年同月を下回った。
4 3月の推定期末在庫量は、12万6843トン(同9.4%増)と前年をかなりの程度上回った(図4)。このうち、輸入品も11万6128トン(同8.3%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
推定出回り量は、6万7927トン(同4.8%減)と前年同月をやや下回った(図5)。このうち、国産品は2万4871トン(同5.6%減)、輸入品は4万3056トン(同4.3%減)と、ともに前年同月をやや下回った。
(畜産振興部 郡司 紗千代)