豚総飼養頭数は2年連続減少
カナダ統計局(Statistics Canada)が2020年2月25日に公表した「Hog Statistics」によると、2020年1月1日現在の豚の飼養頭数は1387万5000頭(前年比0.6%減)と前年をわずかに下回り、2年連続の減少となった(図9)。
2020年1月1日時点の豚飼養頭数を種類別にみると、繁殖豚は同0.7%減の124万1000頭と前年をわずかに下回った(表8)。 また、肥育豚の中では、81キログラム以上の重量区分では同3.5%減と前年をやや下回り、肥育豚全体も1263万4000頭と前年を0.6%下回った。
一方、子豚生産は増加に転じており、Statistics Canadaによると、2019年下半期(7月〜12月)の分娩母豚頭数は前年同期比1.6%増の123万2400頭、産子数は同2.5%増の1639万2600頭といずれも前年同期を上回った。
米国向け生体豚輸出頭数、3年連続減少
最大の生体豚輸出先である米国では豚飼養頭数が過去最高水準で推移していることから、同国向け輸出頭数は減少傾向で推移している。カナダ農務・農産食品省(AAFC)によると、2019年の米国向け生体豚輸出頭数は510万頭(前年比2.8%減)となり、2017年以降3年連続で前年を下回った(図10)。種類別にみると、肥育用豚は前年比3.8%減の414万頭、と場直行豚は同4.8%増の83万頭、繁殖豚は同14.2%減の12万頭となった。
中国やベトナム向け豚肉輸出量が急増
カナダ統計局によると、2019年の豚肉輸出量は前年をわずかに上回る96万6255トン(前年比0.5%増)となった。輸出先別にみると、最大輸出先である米国向けは、同国内での豚肉生産が高水準で推移していたことなどから、同11.6%減の22万3260トンとなった。中国向けは、同国でのアフリカ豚熱(ASF)の流行を受けた生産減によるカナダ産への引き合い増を背景に、同年上半期は好調であったものの、衛生証明書の記載と異なり成長促進剤であるラクトパミンが残留した同国産豚肉が見つかったことを中国政府が発表し、輸出停止の影響で下半期に激減したことから、通年では同7.5%減の20万4819トンとなった。また、これまで他国と比べて少量であったベトナム向けは、同国でのASFの流行による生産減で急拡大しており、前年の約14倍となった。
直近の動向では、2020年1月〜2月の合計輸出量をみると、全体では、18万8571トン(前年同期比20.5%増)と大幅に増加した。輸出先別にみると、2019年11月に輸出再開となった中国向けが7万6265トン(同60.3%増)と大幅に増加して最大輸出先となった。また、米国向けは前年と同様の傾向が続いており、3万5786トン(同1.7%減)とわずかに減少した一方、ベトナム向けの勢いは加速しており、前年同期の121倍の6794トンとなった結果、韓国向けを上回って輸出先の5位となっている(表9)。
(参考) カナダ産豚肉の中国向け輸出停止と再開の経緯については、『畜産の情報』2019年9月号「中国向け輸出が停止された中、政府は業界への支援を公表」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000752.html)、同2020年2月号「1〜10月の豚肉輸出量、中国向けが大幅に変動」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000954.html)を参照されたい。
(調査情報部 河村 侑紀)