米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2020年4月9日、2019/20年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給見通しを公表した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである。
生産量は、前回予測と修正なく、単収の減少などにより前年度比4.5%減の136億9200万ブッシェル(3億4778万トン
(注))と予測されている(表18)。
消費量は、飼料など向け利用が12月〜翌2月の四半期に増加し前回より上方修正される一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によりガソリン、エタノール需要が減少したことに伴いエタノール生産が前例のない減少となったことから、食品・種子・その他工業向けが前回より下方修正され、全体で2億500万ブッシェル(521万トン)下方修正された。全体では、同0.7%減の121億4000万ブッシェル(3億836万トン)と予測されている。
輸出量は、前回と変わらず、同16.5%減の17億2500万ブッシェル(4382万トン)と予測されている。
期末在庫は、輸入量がわずかに下方修正された一方、消費量がそれを上回る量で下方修正されたことから、2億ブッシェル(508万トン)上方修正された。全体では、同5.8%減の20億9200万ブッシェル(5314万トン)と前回より減少率が9.0ポイント縮小すると予測されている。
また、生産者平均販売価格は3月、COVID-19の影響でエタノール需要が落ち込み取引価格が下落したことから、1ブッシェル当たり0.20米ドル(1キログラム当たり0.9円:1米ドル=108円)下方修正された。全体では、前年度比0.3%安の3.60米ドル(1キログラム当たり15.3円)と予測されている。
(注) ブッシェルを25.4キログラムとしてALICが換算。
2020年度米国の主要穀物作付意向面積、トウモロコシ、大豆とも前年より増加
米国農務省農業統計局(USDA/NASS)は2020年3月31日、2020年の米国の主要穀物作付意向面積を公表した。このうち、トウモロコシおよび大豆の作付意向面積は次の通りである。
トウモロコシは、前年比8.1%増の9699万エーカー(3925万ヘクタール)と2012年以降で最大となった(表19)。2019年は、初春の記録的な洪水やコーンベルトの一部地域での記録的な降雨により、トウモロコシや大豆を作付けできない地域が拡大した。このため、2020年は全米48の作付州のうち38州で作付面積の維持または拡大の意向を示した。
作付意向面積が最大のアイオワ州やイリノイ州などで前年の作付面積を上回っている。また、前年作付けのできない地域が大きかったサウスダコタ州、オハイオ州などでは、前年を大幅に上回っている。
大豆は、同9.7%増の8351万エーカー(3380万ヘクタール)となった。2019年は、記録的な洪水や降雨に加え、中国の報復関税や春期の作付けの遅れが作付面積に影響を及ぼした。このため、2020年は、全米29州の作付州のうち22州で作付面積の維持または拡大の意向を示した。
作付意向面積が最大のイリノイ州やアイオワ州などで前年の作付面積を上回っている。また、前年作付けのできない地域が大きかったサウスダコタ州、ミシガン州などでは、前年を大幅に上回っている。
(調査情報部 井田 俊二)