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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2020年7月号

2年5月の鶏卵相場、8カ月ぶりに前年同月を下回る

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 令和2年5月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり168円(前年同月比5円安)と8カ月ぶりに前年同月を下回った(図26)。
 
 
 例年、年明けに下落した同価格は、春先に向けて再び上昇した後、気温の上昇とともに低下する傾向がある。本年の同価格は年明けに下落した後、4月中旬にかけて上伸し、その後下落傾向となった。
 過去5カ年の5月の価格を見ると、本年は平成30年に次いで低い水準となっている。また、本年5月の価格は前月から同34円安となり、過去5カ年の4月から5月の下げ幅を見ると最大となっている。これは気温の上昇とともに価格が下落するという例年の傾向に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急事態宣言に伴う業務・外食用需要の減少によるものとみられる。
 こうした中、5月に鶏卵の標準取引価格が安定基準価格を下回ったことから、成鶏更新・空舎延長事業が発動することとなった(後述)。一般社団法人日本種鶏孵卵協会の調査によると、4月分の採卵用めすの出荷・え付け羽数は前年同月比0.7%増と、5カ月連続で前年同月を上回って推移している。このように、今後、供給面では引き続き安定した生産が見込まれる中、同事業による生産調整がどの程度生産に影響するのか注目される。
 一方、需要面では、COVID-19緊急事態宣言解除に伴い学校給食や飲食店の営業が再開されつつあるるものの、解除後も人との接触機会の低減が推進されていることから、業務・外食用需要の回復には時間を要するとみられる。

成鶏更新・空舎延長事業が発動
 鶏卵卸売価格は4月下旬から下落傾向であったが、5月18日の鶏卵の標準取引価格(日毎)(注1)が1キログラム当たり160円となり、安定基準価格(同161円)を下回ったことから、一般社団法人日本養鶏協会は、鶏卵生産者経営安定対策事業の一つである成鶏更新・空舎延長事業を今年度初めて発動すると発表した。
 同事業は、鶏卵の標準取引価格(日毎)が安定基準価格を下回った日の30日前から標準取引価格(日毎)が安定基準価格を上回る日の前日(注2)までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。なお、今回の奨励金交付対象となる成鶏の出荷期間は、令和2年4月18日からとなっている。

(注1) 標準取引価格とは東京および大阪のSS〜LLサイズ(6規格)の加重平均価格。
(注2) 安定基準価格を上回った日の前日までに、成鶏の処理を食鳥処理場に申し込んでいる場合は、安定基準価格を上回った日から起算して30日後。
(畜産振興部 前田 絵梨)