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海外の需給動向【豚肉/EU】  畜産の情報  2020年7月号

2月の豚肉輸出量は、中国向けが前年同月比で大幅増

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2月の豚肉生産量は、前年同月比減
 欧州委員会によると、2020年2月の豚肉生産量(EU27カ国)は、前年同月比2.4%減の184万8740トンとなった(図9)。と畜頭数は同2.4%減の1952万頭、1頭当たり枝肉重量は前年同月並の94.7キログラムとなった。
 
 
 2月の主要生産国の豚肉生産量を見ると、スペイン(同3.4%増)、ドイツ(同0.2%増)、デンマーク(同9.1%増)が増産となったものの、フランス(同0.3%減)、ポーランド(同11.6%減)、オランダ(同3.2%減)、イタリア(同26.7%減)では減産となった(表5)。
 
 
 なお、同年1〜2月の豚肉生産量の合計は、392万トン(前年同期比2.3%減)となった。
 欧州委員会は、4月に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、アジアからの輸出需要が続き、豚枝肉卸売価格の高値が続くことや、より重い枝肉が好まれることから、2020年の豚肉生産量は前年比0.7%増と見込んでいる。なお、同見通しの中で、生産量の増加は中国への輸出が盛んなスペインによってけん引されているとし、同年にはスペインのと畜頭数がEUの中で最も多くなると見込まれている。また、同見通しの中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は、EU内のフードサービスの特定の製品(子豚の丸焼きなど)の需要を除けば大きくはないとしている。

下落が続いていた豚枝肉卸売価格は、11週ぶりに前週比高
 欧州委員会によると、4月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比8.7%高の100キログラム当たり180.76ユーロ(2万1691円:1ユーロ=120円)となり、2019年4月以降、13カ月連続で前年同月を上回っている。
 価格動向を週ごとに見ると、COVID-19による需要低迷を受け3月9日の週に前週比0.9%安となった後、10週連続して前週比安で推移していた。しかし、5月18日の週は同0.7%高の同159.42ユーロ(1万9128円)となり、11週ぶりに前週比高となった(図10)。
 
 
 欧州委員会が4月に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中では、2019年に中国の輸入量が急増し、同卸売価格も高騰してから高水準で推移しており、COVID-19の影響はわずかにあったものの、中国からの需要が続くことから2020年の同卸売価格も高い水準が続くと見込まれている。

2月の豚肉輸出量は前年同月比増
 欧州委員会によると、2020年2月のEU域外への豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量(EU27カ国)は、前年同月比17.5%増の26万1904トンとなった(表6)。豚肉輸出量は、2019年以降、15カ月連続で前年同月を上回って推移している。
 

 
 輸出先別に見ると、唯一増加したのは中国向け(同119.7%増)で、日本向け(同12.4%減)、韓国向け(同27.7%減)、豪州向け(同28.7%減)、香港向け(同31.2%減)、フィリピン向け(同61.6%減)、米国向け(同62.6%減)は軒並み減少した。
 また、輸出国別に見ると、EU最大の輸出国であるスペイン(同28.5%増)、次ぐドイツ(同25.4%増)をはじめ、ポーランドを除いて主要輸出国のいずれも増加した(表7)。
 

 
 欧州委員会は、4月に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、EUは最大の輸出先である中国の動向に大きく影響を受け、2020年も同国からの需要が継続することから、年間輸出量は前年比12.0%増と見込んでいる。

 
(調査情報部 小林 智也)