1 令和2年5月の牛肉生産量(部分肉ベース)は、2万5244トン(前年同月比1.8%減)と前年同月をわずかに下回った(図1)。品種別では、和牛は1万1754トン(同3.0%増)と前年同月をやや上回った一方、交雑種は6261トン(同7.8%減)とかなりの程度、乳用種は6822トン(同4.7%減)とやや、いずれも前年同月を下回った。
なお、過去5カ年の5月の平均生産量との比較でも、1.5%減とわずかに下回る結果となった。
2 5月の輸入量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う北米の現地工場の稼働停止による生産量の減少などから、細かいカットを要する冷蔵品については、2万576トン(同10.9%減)と前年同月をかなりの程度下回った(図2)。一方、冷凍品については、不足する冷蔵品の代替で輸入業者が厚めに手当てしたことに加え、前年同月の輸入量が10連休明けの需要減退により少なかったことから、2万9437トン(同15.9%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図3)。この結果、全体では5万40トン(同3.0%増)と前年同月をやや上回った。
なお、過去5カ年の5月の平均輸入量との比較でも、冷蔵品は3.0%減とやや下回る一方、冷凍品は4.2%増とやや上回る結果となった。
3 5月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は、COVID-19の影響による内食需要の増加から、243グラム(前年同月比28.8%増)と前年同月を大幅に上回った(総務省「家計調査」)。
その一方で、5月の外食産業全体の売上高(同32.2%減)は、首都圏などにおいてCOVID-19緊急事態宣言の解除が5月下旬まで延長され、営業時間の短縮や臨時休業が続いたことなどから、前年同月を大幅に下回った。(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフード洋風は、前月以上にデリバリーを含む持ち帰り需要が伸びたことから、同10.9%増と前年同月をかなりの程度上回った。一方、牛丼店を含むファーストフード和風は持ち帰り需要の下支えがあったものの同15.2%減とかなり大きく、焼肉も休業していた店舗が徐々に再開したものの同49.1%減と大幅に、いずれも前年同月を下回った。
4 5月の推定期末在庫量は、外食需要の減退などにより、14万7770トン(同23.4%増)と前年同月を大幅に上回った(図4)。このうち、輸入品は13万6234トン(同22.7%増)と前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は、6万9267トン(同3.1%減)と前年同月をやや下回った(図5)。このうち、国産品は2万4966トン(同4.3%減)とやや、輸入品も4万4301トン(同2.3%減)とわずかに、いずれも前年同月を下回った。
(畜産振興部 郡司 紗千代)