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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2020年8月号

2年6月の鶏卵相場、再び前年同月を上回る

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 令和2年6月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり160円(前年同月比9円高)と前年同月を上回った(図22)。
 

 本年の同価格は年明けに下落した後、4月中旬にかけて上伸した。その後は下落傾向となり、5月の同価格は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による業務・外食用需要の減少のため、8カ月ぶりに前年同月を下回った。6月は、再び前年同月を上回ったものの、5カ年の6月の価格を見ると、本年は令和元年に次いで低い水準となっている。
 このような中、5月に発動した成鶏更新・空舎延長事業(注)は引き続き発動が続いており、今回の発動の奨励金交付対象となる成鶏の出荷期間は、4月18日からとなっている。同事業による生産調整によって生産量の減少が予想されるものの、一般社団法人日本種鶏孵卵協会の調査によると、採卵用めすの出荷・え付け羽数は6カ月連続で前年同月を上回って推移し、5月分は前年同月比2.6%増となっている。同事業による生産調整が、今後の生産にどの程度影響するのか注目される。
 需要面では、量販店ではCOVID-19の影響による巣ごもり需要が続いているが、一時期と比べると落ち着いてきているという見方もある。一方で、飲食店の営業が再開されたものの業務・外食用需要の回復には時間を要するとみられる。

(注) 鶏卵生産者経営安定対策事業の一つであり、一般社団法人日本養鶏協会が実施する事業。同事業は、鶏卵の標準取引価格(日毎)が安定基準価格を下回った日の30日前から標準取引価格(日毎)が安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。なお、安定基準価格を上回った日の前日までに、成鶏の処理を食鳥処理場に申し込んでいる場合は、安定基準価格を上回った日から起算して30日後までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。

鶏卵家計消費購入数量、4カ月連続で前年同月を上回る
 鶏卵消費の約5割を占める家計消費を見ると、COVID-19の影響による巣ごもり需要の増加により、1人当たり購入数量は4カ月連続で前年同月を上回って推移し、5月は1031グラム(前年同月比14.4%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図23)。平成28年以降の購入数量の動向を見ると、購入数量が最も多かった前月に次ぐ高い水準となっている。また、1人当たり支出金額についても322円(同24.0%増)と前年同月を大幅に上回った(総務省「家計調査」)。
 

 
 
(畜産振興部 前田 絵梨)