ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 1〜4月のカナダの豚肉輸出量、中国向けが好調
中国向け輸出量、前年同期比54.7%増
カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2020年1〜4月の合計輸出量は38万4849トン(前年同期比17.1%増)と大幅に増加した。輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは、2019年11月の輸出再開(注1)以降、同国でのASF(アフリカ豚熱)の流行による生産減を背景に急増し、17万6195トン(前年同期比54.7%増)となった。次いで多い日本向けは、同国でのカナダ産の底堅い需要などを背景に、引き続き増加傾向で推移しており、7万3117トン(同9.3%増)とかなりの程度増加した。ベトナム向けは、3月以降ペースが鈍化しているものの、同国でのASFの流行による生産減で増加しており、7756トンと前年同期の97倍となった(表5、図9)。
(注1) 中国政府は、衛生証明書の記載と異なり成長促進剤であるラクトパミンが残留したカナダ産豚肉が見つかったことを発表し、カナダ政府が2019年6月25日に中国向けの牛肉・豚肉輸出を停止した。カナダ産豚肉の中国向け輸出停止と再開の経緯については、『畜産の情報』2019年9月号「中国向け輸出が停止された中、政府は業界への支援を公表」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000752.html)、同2020年2月号「1〜10月の豚肉輸出量、中国向けが大幅に変動」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000954.html)を参照されたい。
肥育豚価格、大きな変動を繰り返しながら推移
カナダ農務・農産食品省(AAFC)が公表している「Red Meat Market Information」によると、2020年5月の豚と畜頭数は、165万3000頭(前年同月比2.9%増)となり、同年1〜5月の累計では894万5000頭(前年同期比3.3%増)となった。
こうした状況の中、米国での新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)による食肉処理施設の一時閉鎖などを背景とした需給の混乱などにより、米国の肥育豚価格は乱高下しており、連動するカナダの肥育豚価格(注2)においても同様の傾向が見られる(図10) 。なお、直近の6月中旬(第24週)は、枝肉100キログラム当たり179.82カナダドル(1万4386円:1カナダドル=80円)と4週連続で低下した。
(注2) カナダの肥育豚価格の算定については、『畜産の情報』2019年11月号「カナダ豚肉産業にみる多様性と肥育豚価格の算定方式をめぐる議論」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000834.html)を参照されたい。
(調査情報部 河村 侑紀)