米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2020年6月11日、「Grain:World Markets and Trade」において、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した。
これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は、ブラジルが作付面積の増加により前回より100万トンを上方修正されたのをはじめニカラグアなど、全体で162万トン上方修正され、前年度比6.6%増の11億8848万トンと見込まれている(表13)。2020/21年度は、最大の生産国である米国が前年度から大幅に回復するのをはじめ、ブラジル、ウクライナが過去最大の生産となる。
輸出量は、前回予測値と大きな差がなく生産量が増加したザンビアなどが前回より上方修正され、同4.4%増の1億8289万トンと見込まれている。これは、全体のトウモロコシ供給量が増加し、競合する飼料用小麦との価格競争力が高まったことなどが要因である。一方、輸入量は、タイやホンジュラスなどが上方修正された。なお、2019/20年度において、アルゼンチンの輸出量が前回より100万トン上方修正される一方、ブラジルが100万トン下方修正された。
消費量は、中国が前回より100万トン上方修正されるなど、全体で155万トン上方修正され、同3.7%増の11億6351万トンと見込まれている。全体の需給では、生産量が消費量を上回る状況を維持している。
期末在庫は、生産量が増加するブラジルのほかインドなどが前回より上方修正される一方、消費量が増加する中国のほかアルゼンチン、南アフリカ共和国およびパラグアイが下方修正された結果、全体で174万トン下方修正され、同8.5%増の3億3788万トンとかなりの程度の増加が見込まれている。
2020/21年度の世界の大豆生産量、前年度比8.2%増と予測
USDA/FASが2020年6月11日、「Oilseeds:World Markets and Trade」において、2020/21年度の世界の大豆需給予測値を公表した。
これによると、2020/21年度の世界の大豆生産量は、前回予測値と大きな差がなく、前年度比8.2%増の3億6285万トンとかなりの程度増加すると見込まれている(表14)。ブラジルに次ぐ生産量に米国は、前年度生産量が落ち込んだが、2020/21年度は作付面積、単収が回復することから、同16.1%増の1億1226万トンと大幅に増加する。
輸出量は、前回予測値と大きな差がなく、同4.1%増の1億6198万トンと見込まれている。最大の輸出国であるブラジルやアルゼンチンが前年度を下回る一方、米国が中国向けを中心に同24.2%増の5579万トンと大幅に上回る。輸入量は、前回予測値から修正がなく、同1.8%増の1億5802万トンと見込まれている。なお、2019/20年度において、ブラジル、アルゼンチンの輸出量が前回よりそれぞれ100万トン上方修正される一方、その輸出相手先である中国の輸入量が200万トン上方修正された。
消費量(搾油仕向け)は、前回より91万トン上方修正され、同3.7%増の3億1371万トンと見込まれている。ASF(アフリカ豚熱)からの回復により豚飼養頭数が増加し需要の強い中国のほか米国などが前回より上方修正された。
期末在庫は、前回より205万トン下方修正され、同2.9%減の9634万トンと見込まれている。前年度からの繰越在庫が増加する中国が上方修正される一方、ブラジルやアルゼンチンが前回より下方修正された。
(調査情報部 井田 俊二)