牛乳等向け生乳処理量、4カ月ぶりに前年同月を上回る
令和2年6月の生乳生産量は、62万3450トン(前年同月比0.7%増)となった(図19)。地域別に見ると、北海道は34万9639トン(同1.2%増)、都府県は27万3811トン(同0.2%増)と、いずれも前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けが35万5202トン(同1.6%増)と4カ月ぶりに前年同月をわずかに上回った。一方、乳製品向けは、26万4526トン(同0.4%減)と元年8月以来10カ月ぶりに前年同月を下回った。
なお、乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けは12万7287トン(同4.3%増)と、引き続き前年同月を上回っている(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
学校給食用牛乳生産量は回復基調へ
6月の牛乳生産量は、28万1722キロリットル(前年同月比2.6%増)と2月以来4カ月ぶりに前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う緊急事態宣言が5月25日に全面的に解除され、6月以降、全国の小中学校などが段階的に再開した。これに伴い、3月から5月にかけて前年同月比で8割程度少ない水準で推移していた学校給食用牛乳の生産量は、6月には3万4904キロリットル(同6.2%減)まで回復した。
また、6月の業務用牛乳生産量は2万1939キロリットル(同15.9%減)と、引き続き前年同月を大幅に下回る水準で推移しているが、緊急事態宣言の解除に伴い業務用需要は回復しつつあり、前年同月比の減少幅は前月から20.1ポイント縮まった。
なお、6月においても、牛乳の家庭内消費量は堅調に推移し、牛乳販売本数は6カ月連続で前年同月を上回って推移している(一般社団法人Jミルク「Jミルク需給短信」)。
ナチュラルチーズ消費量、堅調に推移
農林水産省が7月17日に公表した「令和元年度チーズの需給表」によると、元年度のナチュラルチーズ消費量は21万7718トン(前年度比3.5%増)と前年度をやや上回り、過去最高を更新した(図20)。
元年度の国産ナチュラルチーズの生産量は4万4396トン(同2.2%減)と前年度をわずかに下回った(図21)。一方、需要の伸びを反映して、輸入ナチュラルチーズ総量は28万6938トン(同2.6%増)と3年連続で前年度を上回った。こうしたことから、チーズ総消費量に占める国産割合(ナチュラルチーズベース)
(注)は前年度の13.6%から0.5ポイント減の13.1%となった。
ただし、国産ナチュラルチーズの生産量の内訳を見ると、プロセスチーズ原料用はかなりの程度減少したものの、直接消費用を中心とするプロセスチーズ原料用以外は、2万4995トン(同1.9%増)と過去最高となった(表2)。
なお、当機構では、国産乳製品等競争力強化対策事業の実施などを通じて、国産チーズの生産・消費の拡大を後押ししている。
(注) チーズ総消費量の国産割合は、ナチュラルチーズに換算したチーズ総消費量に占める国産ナチュラルチーズ生産量の割合から推定したもの。
(酪農乳業部 鈴木 香椰)