中国向けが大幅増
ブラジル経済省貿易局(SECEX)によると、2019年の豚肉輸出量は、前年比19.4%増の65万6992トンと前年を大幅に上回った(表3)。
この要因としては、中国向け輸出の拡大に加えて、2018年の実績がほとんどなかったロシア向け輸出の回復が挙げられる。輸出先別に見ると、第1位の中国向けは、同60.7%増の25万581トンと大幅に増加し、過去最高を更新した。背景には、ASF(アフリカ豚熱)の影響による中国国内での供給不足がある。
こうした中で、2020年1〜6月の豚肉輸出量は、前年同期比38.4%増の42万1262トンとなった。要因としては、レアル切り下げにより輸出競争力が高まる中で(図8)、特に中国向けが同2.4倍、香港向けが同20.7%増と、輸出が大幅に拡大していることが挙げられる。また、その他のアジア諸国への輸出も増加しており、シンガポール向けが同51.7%増、日本向けが同3.1倍と大幅に増加した。背景には、中国向けの割合が高まる中で、輸出先の多様化を図ろうとするブラジルの取り組みがある。
2020年の生産量は増加見込み
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2月18日、2020年におけるブラジルの豚肉生産量を前年比4.5%増の416万トンと予測した(図9)。この要因として、経済成長の継続により国内需要が増加していることに加え、中国や香港への輸出が拡大していることを挙げている。肉豚の生産コスト指数を見ると、飼料原料となるトウモロコシ価格の高止まりを背景に上昇傾向にあるが、生体の国内取引価格については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生に伴う取引減少の影響で一時期下落したものの、以前の水準へ戻りつつあることから、生産量は今後も増え続けると予測される(図10、11)。
(調査情報部 小林 大祐)