米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2020年7月10日、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである。
生産量は、作付面積、収穫面積がそれぞれ前回より500万エーカー、560万エーカー減少したことで、9億9500万ブッシェル(2527万トン)下方修正され、前年度比10.2%増の150億ブッシェル(3億8102万トン
(注))と前回より増減率が7.3ポイント低下するものの、かなりの程度の増加が見込まれている(表14)。この生産量は、これまで最も大きかった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)をわずかに下回る水準となる。
消費量は、生産量が下方修正されたことや価格上昇が見込まれることから飼料等向けを中心に1億7500万ブッシェル(445万トン)下方修正され、同5.2%増の124億7500万ブッシェル(3億1688万トン)と見込まれている。
輸出量は、前回予測値から修正がなく、同21.1%増の21億5000万ブッシェル(5461万トン)と大幅な増加が見込まれている。
期末在庫は、生産量が下方修正されたことなどから前回より6億7500万ブッシェル(1715万トン)減と大幅に下方修正されたものの、同17.8%増の26億4800万ブッシェル(6726万トン)と大幅な増加が見込まれている。この結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、18.1%と前回を4.4ポイント下回り、前年度から1.6ポイントの増加が見込まれている。
また、生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.35米ドル(1キログラム当たり14.0円:1米ドル=106円)と前回より0.15米ドル(同0.6円)上昇すると見込まれている。
なお、多くのトウモロコシの生産地では、7月中旬〜下旬にかけて授粉期を迎えると見込まれており、今後はその状況を踏まえた需給予測が行われる。
(注) 1ブッシェルを25.401キログラムとしてALICが換算。
(調査情報部 井田 俊二)