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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2020年10月号

牛乳消費は引き続き堅調、家庭用バターの需要は落ち着く

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7月の脱脂粉乳・バター等仕向け量は前年同月比6.3%減
 令和2年7月の生乳生産量は、62万7938トン(前年同月比0.8%増)となった(図15)。地域別に見ると、北海道は35万6719トン(同1.1%増)、都府県は27万1219トン(同0.3%増)と、いずれも前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
 用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けが35万9777トン(同6.0%増)と前年同月をかなりの程度上回った。一方、乳製品向けは、26万4390トン(同5.6%減)と前年同月をやや下回った。中でも、令和元年9月以降、10カ月連続で前年同月を上回って推移していた脱脂粉乳・バター等向けは12万3628トン(同6.3%減)と前年同月をかなりの程度下回った(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
 

7月の学乳生産量は前年同月比43.0%増
 7月の牛乳生産量は、28万2839キロリットル(前年同月比5.8%増)と前年同月をやや上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。これを区分別に見ると、学校給食用は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により全国的に小中学校の夏休みが短縮されたことなどから、3万5035キロリットル(同43.0%増)と前年同月を大幅に上回った(図16)。また、業務用は2万3146キロリットル(同2.5%減)と引き続き前年同月をわずかに下回ったが、減少幅は前月からさらに縮まり、業務用需要が回復傾向にあることがうかがえる(図17)。
 


 
 なお、牛乳生産量から業務用と学校給食用を除いた数量は、小売店などで直接飲用として販売される牛乳であり、令和2年2月以来5カ月連続で前年同月をやや上回って推移し、7月も22万4658キロリットル(同2.6%増)となった(図18)。牛乳の家庭内消費量を見ても、特に本年2月以降、高い伸び率で前年同月を上回っていることから、COVID-19の拡大に伴う緊急事態宣言の影響による巣ごもり需要で増加した家庭用需要がその後も定着し、牛乳生産量全体の増加をけん引していることがうかがえる(一般社団法人Jミルク「Jミルク需給短信」)。
 
 
家庭用バター販売状況、8月も堅調に推移
 家庭用バターの需要も、COVID-19の影響による巣ごもり需要で増加しており、5月4〜10日の週の1店舗当たりバター販売重量は10.14キログラム(前年同期比64.6%増)と、年間の最需要期であるクリスマスシーズン並みとなり、店頭の欠品率も一時的に高まった(農畜産業振興機構「小売店におけるバターの販売状況」、図19)。
 その後の乳業各社による家庭用バターの増産により供給量が増加し、需要が落ち着いてきたことから、1店舗当たり販売重量は減少傾向にあり、店頭の欠品率も低下している。8月17〜23日の週は同5.53キログラム(同5.3%増)と前年同期をやや上回るなど、引き続き需要は堅調に推移している。
 

 
 
(酪農乳業部 鈴木 香椰)