畜産物によるシェアは引き続き拡大傾向
令和元年度の畜産物の国民1人・1年当たりの供給純食料(正肉換算ベース)は、肉類全体で33.5キログラムと前年度より0.2キログラム増加した。このうち牛肉は6.5キログラムと前年度と同水準となり、また、豚肉も12.8キログラムと過去最高を記録した前年度と同水準となった。一方、鶏肉は牛肉および豚肉を上回る13.9キログラムと前年度より0.2キログラム増加し、過去最高を記録した。この背景として、近年、肉類の消費量が増加傾向にある中でも健康志向の高まりなどから鶏肉の消費量が伸びていることがある。さらに、元年度は鶏肉の卸売価格が前年を下回って推移していたことが消費量の増加につながったものと考えられる。
鶏卵は17.5キログラムと前年度より0.1キログラム増加し、過去最高を記録した平成5年度と同水準となった。これを個数換算すると1人・1年当たりの消費量は約1.6個増加したことになり、日本人の鶏卵消費量はメキシコに次いで2番目に多い水準となっている。
牛乳・乳製品は95.4キログラムと前年度より0.2キログラム増加し、過去最高を記録した。このうち、飲用向けが31.2キログラムと前年度と同水準となった一方で、チーズなどの消費が増加していることから乳製品向けが64.1キログラムと前年度より0.2キログラム増加した。
【供給たんぱく質】
令和元年度の国民1人・1日当たりの供給たんぱく質は、78.5グラム(前年度比0.3%減)と、前年度を0.2グラム下回った(図28)。このうち、畜産物が約4割を占めていることから、畜産物は重要なたんぱく質源となっていることが分かる。
品目別割合を見ると、牛乳・乳製品は10.6%、鶏卵は7.5%といずれも前年度と同水準となった一方、肉類は21.7%と前年度を0.6ポイント上回った。肉類の内訳を見ると、牛肉が3.8%と前年度と同水準となり、豚肉が8.0%と前年度を1.6ポイント下回った一方で、鶏肉が9.7%と前年度を1.3ポイント上回った。
主な品目の推移を見ると、畜産物の中でも肉類の伸びが最も大きく、平成25年度には魚介類を超え、その後も両者の差は開き続けている(図29)。この魚介類から肉類への代替が進んでいる背景として、魚介類の国際需要の高まりによる価格の上昇に加え、食の欧米化や単身世帯の増加などに伴う肉類の中食・外食需要の増加などが考えられる。肉類の内訳は、鶏肉、豚肉、牛肉の順に摂取量が多く、いずれも増加傾向で推移しており、その中でも近年は鶏肉の伸びが最も大きくなっている。
また、牛乳・乳製品では、近年、飲用向けによる摂取量が横ばいとなっている一方、チーズやヨーグルトなどの乳製品による摂取が増加している。
【供給熱量】
令和元年度の国民1人・1日当たりの供給熱量は、2426.1キロカロリー(前年度比0.7%減)と、前年度を2.4キロカロリー下回った(図30)。このうち、たんぱく質ほど多くはないものの、畜産物は約2割を占め、1日当たり約400キロカロリーを畜産物から摂取している計算となる。
品目別割合を見ると、肉類は8.0%と前年度から0.2ポイント減、牛乳・乳製品は6.9%と前年度から0.1ポイント減、鶏卵は3.0%と前年度から0.3ポイントの減と、いずれも前年度を下回った。肉類の内訳は、牛肉が2.1%と前年度から0.6ポイント増、鶏肉が2.5%と前年度から1.2ポイント増と、いずれも前年度を上回った一方で、豚肉が3.3%と前年度を0.6ポイント下回った。
主な品目の推移を見ると、主食である米が減少する一方、畜産物は肉類および牛乳・乳製品を中心に増加で推移している(図31)。近年の食の多様化により穀類以外の食物からの熱量摂取量が増加しており、畜産物のシェアも拡大している。
肉類の内訳は、豚肉、鶏肉、牛肉の順で摂取が多く、いずれも増加傾向で推移している。また、牛乳・乳製品では、たんぱく質同様、近年、飲用向けによる摂取が横ばいとなっている一方、乳製品による摂取が増加している。
(食肉、鶏卵、供給純食料:畜産振興部 郡司 紗千代)
(牛乳・乳製品:酪農乳業部 鈴木 香椰)