ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 鶏肉供給体制は整うも、需要増により輸入量は大幅に増加
鶏肉生産量は引き続き増加
2019年後半にかけて、ASF(アフリカ豚熱)の影響により豚肉生産量が減少し、鶏肉の代替消費が増加したことから、2020年に入っても家きん肉生産量は増加している。中国国家統計局によると、2020年上半期の家きん肉生産量は前年同期比6.8%増であった。中国農業農村部は、2020年の生産量を前年比7.2%増の2401万トンと予測していたが(注1)、予測通りに増産していると言える。ひな価格はASF発生前の水準まで下落
GP(原種鶏)は、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の影響を受けることなく順調に供給されていたため、2019年に高騰したひな価格はASF発生前の水準まで下落した(図28)。鶏肉小売価格は下落から上昇に転ずる
2020年は供給体制が整ってきた中、COVID‐19により外食需要が減少したことで、同年5月までは鶏肉価格は下降傾向で推移していた(図29)。しかし、7月には外食需要が回復してきたこと、また、夏季休暇により需要が増加したことから上昇に転じ、同年8月第2週には前年同月比1.2%高の1キログラム当たり21.8元(331円:1元=15.2円)となった。鶏肉輸入量は高水準を維持
COVID‐19により物流が制限されていた期間は、生産地から消費地への供給が一時的に滞っていたため、海外からの輸入が強まりをみせた。特に、「一帯一路」政策によりロシアや東欧からの輸入が強化され、本年5月には鉄道による冷凍鶏肉の輸入が可能となった。このため、2020年1〜6月の冷凍鶏肉輸入量は前年同期比85.5%増の64万3411トンであった(表10)。鶏肉需要の高まりを背景に、国内鶏肉価格が上昇傾向にあることや、米国およびロシアなどからの農産品輸入を強化していることから、今後の鶏肉輸入量は、このまま高水準を維持するのではないかと考えられる。