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海外の需給動向【牛乳・乳製品/NZ】 畜産の情報  2020年10月号

7月の生乳生産量、前年同月を3カ月連続で上回る

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7月の生乳生産量は、前年同月比4.4%増

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、7月の生乳生産量は、前年同月比4.4%増の28万6000トンとやや増加し、5月以降3カ月連続で前年同月を上回った(図35)。7月中旬には、北島のノースランドで豪雨の影響により一部道路が冠水するなど被害が出た地域もあった一方、南島の酪農地帯であるカンタベリーなどは例年よりも降水量が少ない状況が続いていることから、近年、安定生産が継続する同国の生乳生産に対する気象の影響について、引き続き注視していく必要がある。

 

7月の脱脂粉乳輸出量、前年同月比40.2%減と大幅に減少

  ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2020年7月の乳製品主要4品目の輸出量は、脱脂粉乳、バター類およびチーズが前年同月を下回る一方、全粉乳は前年同月を上回った(表15、図36)。
 脱脂粉乳については、前年同月比40.2%減の2万763トンと大幅に減少し、2020年3月以来4カ月ぶりに前年同月を下回った。輸出先別では中国向けが同35.0%減の6672トンと大幅な減少となった。
 バター類は、同11.0%減の3万2666トンとかなり大きく減少した。中国向けが同7.8%減の6102トンとかなりの程度減少したほか、サウジアラビアやアラブ首長国連邦向けなども減少した。
 さらに、チーズは同19.1%減の2万6640トンと大幅に減少し、中国、日本、韓国、豪州といった主要輸出先向けは、いずれも前年同月を下回った。
 一方、全粉乳は、同9.6%増の10万6902トンと2カ月連続で前年同月を上回った。中国向けは同10.0%増の3万5920トンとかなりの程度増加した。
 


 
 

乳製品国際価格は、脱脂粉乳を除く3品目が前回から下落

 2020年8月18日に開催されたグローバルデイリートレード(GDT:月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークション。乳製品の国際価格の指標とされる。)の乳製品主要4品目の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表16、図37)。前回開催(同年8月4日)時との比較では、脱脂粉乳は、前回比1.0%高とわずかに上昇した一方、全粉乳は同2.2%安、バターは同2.0%安、チーズは同3.5%安と下落した。
  


 
 脱脂粉乳の価格は、前回比1.0%高の1トン当たり2608米ドル(27万6000円)であった。9月、10月出荷向けの直近の需要が高まり、北アジア(注)の買いが強かったものの、東南アジアやオセアニアからの買いは前回よりも落ち込んだことから、全体としてはわずかな上昇となった。
 全粉乳は、同2.2%安の同2936米ドル(31万1000円)と前回に続き価格が下落した。北アジアからの買いは前回より強かったものの、中南米、東南アジア、オセアニアなどからの買いが弱く、昨年の同時期と比べて購入量が少ないため、これらの地域では当面の需要量が確保されていることがうかがえる。
 バターは、同2.0%安の同3370米ドル(35万7000円)であった。7月以降、取引価格は下落が続いている。北アジアの買いは、前回や昨年の同時期と同程度であったものの、東南アジアやオセアニアは、前回から大幅に減少し、昨年の半分程度となった。
 チーズは、同3.5%安の同3442米ドル(36万5000円)とわずかに下落し、前々回からの取引から下落基調で推移している。
 現地報道によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の拡大による経済の低迷から、全体として市況をうかがう状態となっているとのことである。

(注) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
 
(調査情報部 廣田 李花子)