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海外の需給動向【豚肉/メキシコ】 畜産の情報  2020年11月号

2019年の豚肉輸出量は大幅に増加、中国への輸出は過去最高

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2021年も引き続き生産量は増加見込み
 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は7月31日、メキシコの2020年および2021年における豚肉の需給見通しを発表した。メキシコ国内の景気後退により、消費者が高価な牛肉から価格の手頃な豚肉に消費をシフトしていること、また、繁殖からと畜・加工まで一貫して行う高度なインテグレーションが進展し、生産効率の向上が見込まれることなどから、豚肉の生産量は増加し、2020年は146万トン(前年比3.7%増)、2021年には153万トン(同4.8%増)になると予想されている(表8)。
 
 
 輸出量はアジア諸国や米国への輸出増により、2020年には28万5000トン(同21.8%増)、2021年には34万トン(同19.3%増)と生産量の5分の1相当となり、大幅に増加すると予想されている。国外向けには安い人件費を生かして作業員を手厚く配置することで、輸出先国の細かなニーズに対応し、高単価の部位を輸出する一方、国内向けには安い部位を仕向けることですみ分けを図っている。

新型コロナウイルス感染症の影響により生体豚価格は下落
 メキシコでは2020年3月下旬に新型コロナウイルス感染症(COVID−19)拡大によるロックダウンが始まり、5月29日に連邦政府によって発表された保健省令により徐々に緩和されているものの、いまだ経済活動は制限を受けている。
 このため、生体豚価格についても、4月は前月比12.4%減の1キログラム当たり27.5ペソ(157円:1ペソ=5.72円)、5月は同17.4%安の同22.72ペソ(130円)と大きく下落した一方、7月は前年同月比で16.0%安ながら同29.88ペソ(171円)と、改善の兆しが見られた(図12)。
 
 
中国の買い付けによる輸出量の増加
 メキシコ産豚肉の主な輸出先は日本および米国であり、近年増加傾向にあった。また、2019年に入り、ASF(アフリカ豚熱)のまん延により豚肉生産量が減少した中国への輸出量が増加した(図13)。
 
 
  月別の輸出量を見ると、2019年12月、2020年4〜6月に輸出量が大きく増加しているが、これは当該月において中国に対し、1万トン程度輸出されたためである(図14)。
 
 
(調査情報部 平石 康久)