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海外の需給動向【飼料穀物/世界】 畜産の情報  2020年11月号

2020/21年度の世界トウモロコシ期末在庫量、前回予測より下方修正し前年度割れ

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 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2020年9月11日、「Grain:World Markets and Trade」において、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した。
 これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は、高い国内市場価格を背景に作付面積の拡大が期待されるブラジルが300万トン上方修正される一方、前回上方修正された米国が単収の減少などにより前回より962万トン、ルーマニアで干ばつにより単収が減少するEUが150万トン、また、南部地域で乾燥・高温気候により単収の減少が見込まれるウクライナが100万トンそれぞれ下方修正されるなど全体で865万トン下方修正され、前年度比4.5%増の11億6238万トンと見込まれている(表12)。国別で見ると、下方修正されたとは言え、米国は同9.4%増とかなりの程度増加し豊作となるとともに、ブラジル(同7.8%増)、ウクライナ(同7.3%増)も、記録的に大きな生産量になると見込まれている。
 
 
 輸出量は、米国のほか生産量の見直しで増加するブラジルが上方修正される一方、生産量の見直しで減少するEU、ウクライナ、ロシアが下方修正され、全体で33万トンとわずかに上方修正され、同5.6%増の1億8497万トンと見込まれている。一方、輸入量は、ベネズエラが30万トン上方修正された。
 消費量は、堅調な食肉需要を背景に飼料利用が増加するブラジルや、ASF(アフリカ豚熱)からの回復が進み豚の飼料利用が増加する中国が、それぞれ200万トン上方修正される一方、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)からの回復が遅れエタノール利用が減少する米国が508万トン下方修正されるなど全体で13万トンとわずかに下方修正され、同3.6%増の11億6474万トンと見込まれている。この結果、今回は、消費量が生産量を236万トン上回ることとなった。なお、2019/20年度(推計値)において、前回より中国が300万トン上方修正され、全体で303万トン上方修正された。
 期末在庫は、生産量が引き下げられる米国、消費量が引き上げられる中国が下方修正されるなど、全体で1067万トン下方修正された結果、同0.8%減の3億679万トンと前年割れに転じると見込まれている。

2020/21年度の世界の大豆期末在庫量、米国などで下方修正
 USDA/FASは2020年9月11日、「Oilseeds:World Markets and Trade」において、2020/21年度の世界の大豆需給予測値を更新した。
 これによると、2020/21年度の世界の大豆生産量は、気象条件の悪化に伴う単収の減少により米国が前回より305万トン、またウクライナが下方修正される一方、国内市場価格が高く、レアル安により価格競争力が高いことを背景に作付面積が増加するブラジルが前回より200万トン、またカナダ、インドが上方修正された。全体では66万トンとわずかに下方修正されたものの、前年度比9.6%増の3億6974万トンとかなりの程度増加すると見込まれている(表13)。国別で見ると、米国は、今回下方修正されたものの悪天候により不作となった2019/20年度から作付面積、単収とも回復し同21.4%増と大幅に増加する。また最大の生産国であるブラジルは、同5.6%増と2年連続で増加すると見込まれている。
 
 
 輸出量は、生産量が増加するブラジルをはじめ全体で前回より85万トンとわずかに上方修正され、同0.3%増の1億6634万トンと見込まれている。国別では、ブラジルやアルゼンチンが前年度を下回る一方、生産量の増加する米国が同26.5%増と大幅に上回ると見込まれている。輸入量は、全体で75万トン上方修正され、同0.2%減の1億6325万トンと見込まれている。
 消費量(搾油仕向量)は、大きな変化はなくブラジルが50万トン上方修正される一方、アルゼンチンが100万トン下方修正され、全体で72万トンとわずかに上方修正され、同4.2%増の3億2080万トンと見込まれている。
 期末在庫は、生産量が引き下げられる米国が407万トン下方修正される一方、消費量が引き下げられるアルゼンチンが170万トン上方修正されるなど全体で177万トン下方修正され、同2.5%減の9359万トンと見込まれている。
 
(調査情報部 井田 俊二)