米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2020年9月11日、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである。
生産量は、7月の気象条件が比較的良好であったものの、その後の継続的な高温、乾燥気候に加え、8月に生産地域で暴風が発生したことから、単収が1エーカー当たり178.5ブッシェル(4.5トン
(注))と前回より3.3ブッシェル(0.1トン)、また収穫面積が50万エーカー下方修正された結果、3億7800万ブッシェル(962万トン)下方修正され、前年度比9.4%増の149億ブッシェル(3億7847万トン)が見込まれている(表14)。これは、これまでの統計で最も大きかった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)をわずかに下回る水準となっている。
消費量は、ガソリン需要の回復が遅れるためエタノール向けが減少することや生産者平均販売価格の上昇により飼料等向けが減少することから2億ブッシェル(508万トン)下方修正され、同4.1%増の123億5000万ブッシェル(3億1370万トン)と見込まれている。
輸出量は、新たに大口の販売があることから1億ブッシェル(254万トン)上方修正され、同31.7%増の23億2500万ブッシェル(5906万トン)と大幅な増加が見込まれている。
期末在庫は、総供給量の減少が総消費量の減少より大きいことから前回より2億5300万ブッシェル(643万トン)下方修正されたものの、同11.1%増の25億300万ブッシェル(6358万トン)と依然としてかなり大きい増加が見込まれている。この結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、17.1%と前回より低下するものの前年度より0.6ポイント増加すると見込まれている。
また、生産者平均販売価格は、生産量が下方修正されたことやシーズンの早い段階での販売が好調であることから1ブッシェル当たり3.50米ドル(1キログラム当たり14.7円:1米ドル=107円)と前回より0.40米ドル(同1.7円)上方修正されたが、依然前年度の水準より安価である。
なお、2020年9月21日のUSDAの公表によると、主要18州の収穫
進捗率は8%で、前年同期を2ポイント上回り、過去5カ年平均を2ポイント下回っている。
(注) 1ブッシェルを25.401キログラムとしてALICが換算。
(調査情報部 井田 俊二)