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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2020年12月号

鶏卵相場は3カ月連続で前年同月を下回る

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 令和2年10月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり164円(前年同月比40円安)と前年同月を下回った(図26)。
 
 
 本年の同価格は、年明けに下落した後は上伸し、4月上〜中旬には同210円となった。その後は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による業務・加工用需要の減少のため、例年より低い水準で推移している。例年、鶏卵相場は不需要期の夏場に下落し、気温の低下とともに最需要期の12月に向けて上昇する傾向にある。本年10月の同価格は、直近5カ年の10月の同価格を見ると最も低い水準となっているものの、気温の低下とともに上昇するという例年の動向と同様、前月比では11円高となり2カ月連続で上昇した。
 今後について、供給面では気温の低下により卵重が回復してくる一方、成鶏更新・空舎延長事業(注)による生産調整の取り組みの影響が見込まれる。なお、一般社団法人日本種鶏卵協会の調査によると、採卵用めすの出荷・え付け羽数は、2年1〜9月の合計は前年同期比3.1%増となったが、9月分は前年同月比10.4%減となり、10カ月ぶりに前年同月を下回った。需要面では、COVID-19の影響により業務用の荷動きが引き続き低調なため、例年並みの水準までの回復は見込めないとの見方がある一方で、冬に向けて家庭での鍋物需要などの増加や「Go To Eat キャンペーン」の実施などによる外食での消費促進が期待される。

(注) 鶏卵生産者経営安定対策事業の一つであり、一般社団法人日本養鶏協会が実施する事業。同事業は、鶏卵の標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を下回った日の30日前から標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。なお、安定基準価格を上回った日の前日までに、成鶏の処理を食鳥処理場に申し込んでいる場合は、安定基準価格を上回った日から起算して30日後までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。

家計消費購入数量、8カ月連続で前年同月を上回る
 鶏卵消費の約5割を占める家計消費を見ると、COVID-19の影響による巣ごもり需要の増加により、1人当たり購入数量は8カ月連続で前年同月を上回って推移している。9月は908グラム(前年同月比4.8%増)と前年同月をやや上回った(図27)。本年の購入数量は4月の1036グラムをピークに減少しているものの、依然として直近5カ年の購入数量において最も高い水準で推移しており、年末の最需要期に向けて、引き続き増加傾向が予想される。また、1人当たり支出金額についても273円(同6.0%増)と前年同月を上回った(総務省「家計調査」)。
 
 
(畜産振興部 生駒 千賀子)