9月の生乳生産量は、前年同月比1.7%増
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、9月の生乳生産量は、前年同月比1.7%増の270万8000トンとわずかに増加し、5カ月連続で前年同月を上回った(図16)。
北島の北部と北島・南島の東海岸沿いでは、依然乾燥した状態が続いているが、一部の地域では最近の降雨により草地の土壌水分が保水量の上限に達しているところもある。現在、太平洋赤道域においてラニーニャ現象(同じ海域で海面水温が平年より低い状態が持続する現象)の発生予測もある中、今後、これら状況の変化が生乳生産に影響を与えることが予想され、同国の気象変化を引き続き注視していく必要がある。
9月の乳製品輸出量、前年同月比より増加するも鈍化
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2020年9月の乳製品主要4品目の輸出量は、脱脂粉乳、全粉乳、バター類が前年同月を上回る一方、チーズは前年同月を下回った(表15、図17)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、中国向けが前年同月比1.9%増の4875トンとわずかに増加し、全体では同8.5%増の1万6327トンと、前年同月比で増加に転じた(8月は同18.8%減)ものの、7〜9月の累計で見ると、前年同期比24.3%減の4万5825トンと、依然として前年同期を大幅に下回っている。
全粉乳は、中国向けが前年同月比11.9%増の3万1459トンとかなり大きく増加したものの、全体では、同3.0%増の7万4292トンとやや増加した。また、7〜9月の累計では前年同期比13.4%増の23万1541トンとかなり大きく増加した。
バター類は、中国向けが前年同月比2.1倍の4940トンと大幅に増加し、全体では同7.7%増の2万3365トンとかなりの程度増加した。7〜9月の累計では前年同期比1.4%減の7万432トンとわずかに減少した。
チーズは、主要輸出先である日本向けが、前年同月比45.3%減の2610トンと大幅に減少したことから、全体では、同12.5%減の1万6974トンとかなり大きく減少した。7〜9月の累計でも前年同期比6.0%減の6万2989トンとかなりの程度減少した。
乳製品国際価格は、バターおよびチーズが前回から上昇
2020年10月20日に開催されたグローバルデイリートレード(GDT:月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークション。乳製品の国際価格の指標とされる)の乳製品主要4品目の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表16、図18)。
前回開催(同年10月6日)時との比較では、脱脂粉乳の価格は、前回比0.5%安の1トン当たり2851米ドル(30万5000円)であった。
全粉乳は、同0.1%安の同3037米ドル(32万5000円)であった。前月に引き続き、中国を含む北アジア
(注)からの取引が増加しており、前年同期との比較でも上回った一方、その他の地域では減少した。
バターは、同3.3%高の同3678米ドル(39万4000円)で、前回から価格はやや上回った。
チーズは、同3.0%高の同3803米ドル(40万7000円)とやや上昇した。
(注) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 赤松 大暢)