米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2020年10月9日、「Oilseeds:World Markets and Trade」において、2020/21年度の世界の大豆需給予測値を、また同日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値をそれぞれ更新した。
これによると、2020/21年度の世界の大豆生産量は、収穫面積の減少により米国が前月より122万トン下方修正されるなど、全体で127万トン下方修正されたものの、前年度比9.5%増の3億6847万トンと、依然としてかなりの程度増加すると見込まれている(表20)。国別では、米国が2カ月連続で下方修正されたものの、悪天候により不作となった2019/20年度から作付面積、単収とも回復し同20.1%増と前年度を大幅に上回る。また、最大の生産国であるブラジルやアルゼンチンも、それぞれ同5.6%増、同9.2%増と前年度を上回ると見込まれている。
輸出量は、アフリカ豚熱からの回復が進み飼料需要が増加する中国向けを中心に増加する米国が204万トン上方修正される一方、米国との競合が強まるアルゼンチンが50万トン下方修正されるなど、全体では154万トン上方修正され、同2.0%増の1億6788万トンと見込まれている。国別では、米国が同31.2%増と前年度を大幅に上回る一方、2019/20年度(推計値)を中心に中国向けが増加したブラジルのほか、アルゼンチンは前年度を下回ると見込まれている。また輸入量は、飼料需要が増加する中国が100万トン上方修正されるなど、全体では170万トン上方修正され、同1.2%増の1億6495万トンと見込まれている。
消費量(搾油仕向量)は、飼料需要が増加する中国が100万トン上方修正されるなど、全体では161万トン上方修正され、同4.4%増の3億2242万トンと見込まれている。なお中国では、2019/20年度(推計値)においても100万トン上方修正された。国別では、中国が同8.2%増の9900万トンと前年度をかなりの程度上回っており、750万トン増加している。
期末在庫は、生産量の減少や輸出量の増加により米国が462万トン、また、2019/20年度(推計値)の消費量(搾油仕向量)が増加し期首在庫が減少した中国が159万トンそれぞれ下方修正されるなど、全体では489万トン下方修正され、同5.4%減の8870万トンと見込まれている。特に米国は、同44.5%減の790万トンと前年度を大幅に下回ると見込まれている。
(調査情報部 井田 俊二)