2020年上半期の生産量は新型コロナウイルス感染症の影響により減少
中国国家統計局によると、2020年上半期の牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により前年同期比3.4%減の278万トンであった(図7)。
卸売価格は引き続き高値で推移
2020年上半期は、COVID-19の影響により一時的に外食需要が減少したものの、春季はと畜頭数が少ない時期である中、牛肉需要は総じて堅調であったため、牛肉卸売価格の低下はわずかであった(図8)。その後9月に新学期が始まり、国慶節の連休(10月1〜7日)には宴会などが行われたことから同価格は上昇し、11月は前年同月比4.5%高の1キログラム当たり70.8元(1140円:1元=16.1円)であった。
冷凍牛肉の輸入量は増加も一部の輸入先からは減少
国内の供給不足を満たすため、牛肉輸入量は増加している。2020年1〜10月の冷凍牛肉輸入量(枝肉ベース)は、前年同期比35.7%増の170万3175トンであった(表4)。輸入先別に見ると、前年同期に比べブラジル産が約2.5倍に増加、次いで多いアルゼンチン産も同37.2%増加した。一方、豪州産は、中国政府が牛肉処理場6カ所からの輸入を停止した
(注1)ことにより、前年同期と比べてかなり大きく減少した。また、ウルグアイ産やニュージーランド産牛肉の輸入も減少しているが、これらは生産動向など輸出国側の要因によるものが大きいと考えられる。また、米国産は、同期間における輸入平均価格(CIF)が豪州産と比べて約1.4倍高いにもかかわらず、輸入量が増加傾向にあり、米中経済貿易協定第1段階合意の輸入目標達成
(注2)の意図が背景にあるものと考えられる。
(注1) 海外情報「中国が豪州の4つの牛肉処理場からの牛肉輸入停止を通告」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002706.html)を参照されたい。5月に輸入停止となった4社、12月に同州の食肉処理場1社に加え、8月にクイーンズランド州の食肉処理場1社からの輸入が停止されたことから6社としている。
(注2) 海外情報「米中経済貿易協定の第1段階の合意と農業団体の声明(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002600.html)を参照されたい。
冷蔵牛肉は輸入量、輸入先ともに増加
2020年1〜10月の冷蔵牛肉の輸入量(枝肉ベース)は、前年同期比35%増の3万8383トンであった(表5)。これを輸入先別に見ると、冷凍牛肉とは異なり豪州産が増加していることから、冷蔵牛肉においては輸入停止の影響は受けていないと言える。なお、冷蔵牛肉についても需要の増加により、アルゼンチンやウルグアイからの輸入が著しく増加しているほか、輸入先拡大の動きがあり、9月には地理的に優位なロシアからの輸入も開始されている。
(調査情報部 寺西 梨衣)