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海外の需給動向【牛乳・乳製品/米国】 畜産の情報  2021年1月号

10月のチーズ卸売価格、前年比27.0%高

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 米国農務省(USDA)によると、2020年10月の生乳生産量は、前年同月比2.3%増の841万9000トンとなり、5カ月連続で前年を上回った(図18)。
 

 
 米国の生乳生産量は、乳価が比較的堅調に推移する中、搾乳牛(乳用経産牛)頭数および1頭当たりの乳量の増加を背景に、増加傾向となっている。本年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による流通面での混乱などの影響を受けた5月を除き、前年同月を上回って推移している。
 USDAの2021年の生乳生産量見通しでは、飼料価格が上昇するものの、搾乳牛頭数や1頭当たりの乳量の増加傾向の継続に加え、乳価の上昇が見込まれていることから、生乳生産量は前年比1.5%増の1億246万6000トンと予測されている。

チーズ在庫、6カ月ぶりに前年同月を下回る
 USDAによると、9月のチーズの輸出量は、前年同月比4.2%増の2万8000トンとなった(図19)。
 

 チーズの輸出量は近年、メキシコや韓国、日本などでの好調な需要を背景に、増加傾向で推移している。COVID-19の影響により、本年4月には大きく落ち込んだものの、5月以降は前年同月を上回っており、9月の増加については、急騰した6、7月の卸売価格が8月に一服したことを受けて買い注文が増加したことなどが一因とみられている。
 米国内外の好調なチーズ需要が続く中、チーズの在庫量は5カ月連続で減少しており、9月末は61万7000トン(同1.0%減)と6カ月ぶりに前年同月を下回った(図20)。チーズ以外の主な乳製品の卸売価格は、軒並み前年同月を下回っている一方、需給がひっ迫傾向にあるチーズの卸売価格は堅調に推移しており、10月は同27.0%高の1ポンド当たり2.95米ドル(1キログラム当たり683円:1米ドル=105円)となった(図21)。
 

 
 
 また、米国最大の酪農業協同組合であるDFA、セレクトミルク社、アイルランドに本社を置くグランビア社の合弁会社であるMWC社は、ミシガン州に大規模なチーズおよびタンパク質濃縮ホエイの製造工場を建設し、本年10月より試運転を開始した。今後8カ月間かけて稼働率を高め、最終的には、年間29億ポンド(131万5000トン)以上の生乳を処理し、3億ポンド(13万6000トン)以上のブロックチーズと2000万ポンド(9000トン)以上のタンパク質濃縮ホエイを生産する予定となっている。
 
(調査情報部 河村 侑紀)