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海外の需給動向【牛乳・乳製品/NZ】 畜産の情報  2021年1月号

生乳生産量、降雨に恵まれ11月以降も堅調に推移する見通し

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10月の生乳生産量、6カ月連続で前年同月を上回る
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2020/21年度(6月〜翌5月)10月の生乳生産量は、324万トン(前年同月比0.8%増)と6カ月連続で前年同月を上回った(図23)。9月下旬から北島を中心に乾燥した天候が続いたことなどから、10月は当初見込まれていたほど生乳生産が伸びず、前年同月をわずかに上回る程度にとどまった。しかし10月下旬には降雨に恵まれたことから、牧草の生育状況は改善したとされており、11月以降の生乳生産量も堅調な推移が見込まれる。
 
 
10月乳製品の輸出量、主要4品目で前年同月より減少
 ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2020年10月の乳製品主要4品目(脱脂粉乳、全粉乳、バターおよびバターオイル、チーズ)の輸出量は、いずれも前年同月を下回った(表12、図24)。
 

 
 
 
 品目別に見ると、脱脂粉乳は2万7177トン(前年同月比5.1%減)とやや減少した。中国向けは1万2202トン(同20.0%増)と大幅に増加した一方、マレーシアは同23.4%減、フィリピンは同30.7%減など東南アジア諸国向けが大幅に減少したことなどから、全体では減少となった。
 全粉乳は、9月まで4カ月連続で前年同月を上回っていたが、10月の輸出量は12万8012トン(同2.4%減)と前年同月を下回った。中国、マレーシアなど向けが前年同月を下回り、特に中国向けは、前年同月比17.3%減の大幅な減少となった。
 バターおよびバターオイルについては、3万5286トン(同12.6%減)と3カ月ぶりに前年同月をかなり大きく下回った。中国向けは、同11.6%増と前年同月をかなり大きく上回った一方、日本や中東向けが前年同月を大幅に下回ったことなどから全体では減少となった。
 また、チーズは、2万6284トン(同7.0%減)と2カ月連続で前年同月を下回った。中国向けは、同0.1%増と前年並みだった一方、日本や豪州向けが前年同月を下回ったことから、全体ではかなりの程度減少した。

乳製品国際価格、チーズを除く主要3品目が前回から上昇
 2020年11月17日に開催された、乳製品の国際価格の指標の一つであるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表13、図25)。前回開催(11月3日)時と比較すると、主要4品目のうち脱脂粉乳、全粉乳およびバターは前回の価格を上回った一方、チーズは下回った。
 

 
 
 
 脱脂粉乳については、前回比2.8%高の1トン当たり2799米ドル(29万4000円:1米ドル=105円)となった。これは、EUの介入在庫が解消されて供給過剰感が低下している中で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、家庭での製パン需要などの脱脂粉乳の需要が増加していることなども要因として挙げられる。
 全粉乳価格は、同1.7%高の同3037米ドル(31万9000円)となった。中国からの需要が前回よりも高まったことなどからわずかに値を上げた。
 バターは、同0.4%高の同3838米ドル(40万3000円)で、前回よりわずかに上昇した。
 また、チーズは、同3.8%安の3641米ドル(38万2000円)と、前回よりやや下落した。
 
(調査情報部 廣田 李花子)