1 令和2年11月の牛肉生産量(部分肉ベース)は、3万3750トン(前年同月比1.2%増)と前年同月をわずかに上回った(図1)。品種別では、和牛は1万7737トン(同4.7%増)と前年同月をやや上回った一方で、交雑種は7903トン(同1.9%減)とわずかに、乳用種は7638トン(同3.5%減)とやや、いずれも前年同月を下回った。
なお、過去5カ年の11月の平均生産量との比較でも、1.7%増とわずかに上回る結果となった。
2 11月の輸入量は、冷蔵品は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による北米のと畜加工場における生産減および豪州産の干ばつ後の牛群再構築による生産量減少に伴う現地価格の高騰というマイナス要因があったものの、北米からの入船遅れにより前月予定していた通関が繰越されたことなどから、2万1590トン(同1.0%増)と前年同月をわずかに上回った(図2)。冷凍品は、冷蔵品と同様の影響に加え、前年の輸入量が倉庫の庫腹量のひっ迫により少なかったことなどから、2万7791トン(同7.4%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図3)。この結果、全体では4万9409トン(同4.5%増)と前年同月をやや上回った。
なお、過去5カ年の11月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は0.3%増と同水準である一方、冷凍品は14.8%増とかなり大きく上回る結果となった。
3 11月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は、COVID-19の影響による内食需要の増加から、191グラム(同1.0%増)と前年同月をわずかに上回った(総務省「家計調査」)。
一方、外食産業全体の売上高(同7.8%減)は、新型コロナウイルスの新規感染者数の著しい増加に伴い、特に店内飲食が主体の業態で客足が遠のいたことや営業時間短縮要請により、前年同月をかなりの程度下回る結果となった(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフード洋風はドライブスルー、テイクアウトおよびデリバリーのサービスがさらに充実したことに加え、キャンペーンなどの効果もあり同10.4%増、焼き肉は各種キャンペーンなどの実施により同9.4%増と、ともに前年同月をかなりの程度上回った。一方、牛丼店を含むファーストフード和風はテイクアウトも可能な高単価の季節メニューが好調であったものの、行動自粛要請などで客足が落ちたことから同4.3%減と前年同月をやや下回った。
4 11月の推定期末在庫は、12万7612トン(同3.0%増)と前年同月をやや上回った(図4)。このうち、輸入品は11万6327トン(同2.5%増)と前年同月をわずかに上回った。
推定出回り量は、8万8136トン(同0.6%減)と前年同月をわずかに下回った(図5)。このうち、国産品は3万2729トン(同1.6%減)と前年同月をわずかに下回った一方、輸入品は5万5407トン(同0.1%増)と前年同月並みとなった。
(畜産振興部 友石 公彦)