令和2年11月の生乳生産量、前年同月比1.4%増
令和2年11月の全国の生乳生産量は、59万3699トン(前年同月比1.4%増)と元年9月から15カ月連続で前年を上回って推移している(農林水産省「牛乳乳製品統計」、図15)。地域別に見ると、北海道が33万2212トン(同1.6%増)、都府県が26万1487トン(同1.2%増)と、いずれも前年同月をわずかに上回った。
業務用牛乳等向け処理量、北海道で14カ月ぶりに前年同月を上回る
令和2年11月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは33万346トン(同0.4%減)と前年同月をわずかに下回った。このうち、業務用向けについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で同年3月以降、7月を除くすべての月で前年同月を10%以上下回って推移していたが、北海道で14カ月ぶりに前年同月を上回り、都府県でも回復してきていることから、全体としては減少幅が前月より7.4ポイント縮まり、2万9016トン(同3.7%減)となった。
一方、乳製品向けは、チーズ向けが3万2919トン(同2.7%減)と4カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、脱脂粉乳・バター等向けが12万546トン(同14.2%増)と前年同月をかなり大きく上回ったことなどから、25万9590トン(同3.8%増)と3カ月連続で前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
12月第3週の小売店1店舗当たりのバター販売重量、前年同期比27.9%増
当機構が調査している売店1店舗当たりのバター販売重量は、春先の巣ごもり需要の高まりにより前年度を大きく上回って推移し、夏場にはいったん落ち着いたものの、9月の最終週からおおむね前年同期を上回って推移している。例年のバター需要のピークを迎える12月を見ると、第3週には9.5キログラム(前年同期比27.9%増)と約7カ月ぶりに9.0キログラムを上回り、第4週も9.0キログラム(同16.2%増)と、前年同期を大幅に上回る水準となった(農畜産業振興機構「小売店におけるバターの販売状況」、図16)。
また、当機構による全国100店舗を対象とした調査では、家庭用バター主要20品目について、需要期の12月にすべての店舗で陳列が確認され、欠品はなかった(図17)。
なお、当機構が国内乳業メーカーなど13社を対象に実施している「形態別バターの需給量」調査によると、直近(11月末時点)の家庭用バター在庫量は2542トン(前年同期比45.5%増)と、前年同期を大幅に上回っており、引き続き2月のバレンタイン需要に向けて、家庭用バターは十分な供給数量が確保されている。
令和3年度の生産者補給金と集送乳調整金は合計で据え置き
令和2年12月10日に開催された食料・農業・農村政策審議会において、3年度畜産物価格などの算定について諮問・答申が行われ、これを踏まえ、同価格などが決定された(表1)。このうち、加工原料乳生産者補給金単価については、搾乳牛1頭当たり乳量の増加などにより、1キログラム当たり8.26円と2年度より0.05円引き下げられた一方、集送乳調整金単価については、輸送コストの上昇などを踏まえ2.59円と2年度より0.05円引き上げられたことから、合計では10.85円と、2年度と同水準となった。また、総交付対象数量は、2年度と同じ345万トンに据え置かれた。
(酪農乳業部 鈴木 香椰)