11月の牛肉輸出量、日本向けは前年同月比7.3%増
豪州農業・水・環境省(DAWE)によると、2020年11月の牛肉輸出量は、と畜頭数の減少に伴う牛肉生産量の減少により7万9947トン(前年同月比23.0%減)と前月に続き前年同月を大幅に下回り、10カ月連続で前年同月を下回った(表2)。同年1〜11月累計の輸出量は、95万4366トン(前年同期比14.3%減)と前年同期をかなり大きく下回った。
主要輸出先別の状況を見ると、日本向けは同年5〜10月にわたり前年同月を下回っていたものの、11月は2万5422トンで前年同月比7.3%増とかなりの程度の増加に転じた。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により落ち込んでいた外食産業からの需要が一部回復してきていることが要因とみられる。特に穀物肥育牛肉の輸出の伸びが大きく、1万3483トン(同23.4%増)と大幅に増加しており、牧草肥育牛肉においても増加傾向で推移している(図3)。
米国向けは、9596トン(同30.3%減)と前年同月を大幅に下回り、4カ月連続で前年同月を下回り、1〜11月累計でも前年同期比11.9%減と前年同期をかなり大きく下回った。
中国向けは、1万3064トン(前年同月比61.9%減)と6カ月連続で前年同月を大幅に下回った。7月に豪州産牛肉輸入に係る特別セーフガードの発動により関税が引き上げられたこと
(注)や、豪州の6カ所の輸出用食肉処理施設から中国への輸出を差し止められたことが依然として影響しているものと考えられる。なお、同国向けは、1〜11月累計でも前年同期比31.7%減と大幅に下回っている。
一方で、韓国向けは1万6559トン(前年同月比27.4%増)と大幅に増加したほか、中東向けも2803トン(同22.3%増)と大幅に増加した。
(注) 海外情報「豪州牛肉に特別セーフガード発動」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002506.html)を参照されたい。
東部地区若齢牛指標(EYCI)価格、依然として高水準で推移
肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、12月に入っても1キログラム当たり800豪セント(648円:1豪ドル=81円)前後となっており、2020年の最終取引となる12月17日には813.75豪セント(659円)と依然として高水準で推移した(図4)。肉牛取引数量が少ない中、肥育生産者間での競合が高まっていることが背景にあるが、今後も牛群再構築の動向を注視していく必要がある。
(調査情報部 赤松 大暢)