1〜10月の豚肉輸出量は前年同期比23.9%増
カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2020年1〜10月の合計輸出量は98万4200トン(前年同期比23.9%増)と大幅に増加した(表4)。輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは、2019年11月の輸出再開以降、同国でのアフリカ豚熱流行による生産量減少を受けて、高水準で推移している(図8)。中国での豚肉生産量は回復傾向にあるものの、2020年1〜10月の合計は46万3600トン(同167.3%増)となった。また、2020年9月以降にドイツ国内の野生イノシシでアフリカ豚熱の発生が確認されて以降、同国産豚肉の輸入を停止している中国からの代替需要が、今後のカナダ産の輸出動向にどの程度影響を及ぼすかが注目される。次いで多い日本向けは、同国でのカナダ産の底堅い需要などを背景に、引き続き増加傾向で推移しており、18万3700トン(同0.5%増)とわずかに増加した。ベトナム向けは、同国でのアフリカ豚熱の流行に伴う生産量減少により増加しており、1万7700トンと前年同期比で約3.7倍となった。なお、その他の主要輸出先の多くは、中国向けなどの急増により、前年同期を大きく下回っている。
豚と畜頭数、増加傾向で推移
2020年7月1日現在の肥育豚飼養頭数は横ばいとなっている一方、繁殖豚は前年比1.4%増と前年をわずかに上回っており、豚と畜頭数はおおむね前年同月を上回って推移している(表5、図9)。
カナダ政府が豚肉チェックオフ機関設立を発表
カナダ農務・農業食品省(AAFC)は2020年11月5日、カナダ豚肉振興・研究機構(PRA)の設立を発表した。同機構は、生産者や輸入業者からの課徴金(チェックオフ)を原資にカナダ豚肉産業の販売促進活動や研究活動を実施し、豚肉産業の競争力強化や持続可能性の向上を支援するものである。
これまでAAFCとカナダ農産品委員会(FPCC)は、カナダ豚肉協議会(CPC)と協力して、PRAおよび新たな連邦レベルでの課徴金制度の設立に取り組んできており、2021年夏ごろまでには本格的な活動および運用が開始される予定となっている。
なお、カナダには従来から州ごとに豚肉のチェックオフ制度が存在しており、各州は豚肉産業の販売促進活動や研究活動の原資として、豚の販売の際に州ごとに異なる基準で課徴金を徴収している(表6)。
(調査情報部 河村 侑紀)