ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は12月10日、2020/21年度第3回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表16、図19)。この調査は、春まきの夏作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋まきの冬作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量は前回に続き下方修正され、2019/20年度と同程度の見込み
2020/21年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回公表より作付面積が減少したため230万1500トン下方修正され、前年度比0.1%増の1億258万9200トンと、統計開始以降、最大となった2019/20年度と同程度と見込まれている。
トウモロコシの生産は、現在全体の生産量の4分の1程度を占める第1期作の作付けが行われているが、一部の地域では、乾燥のため土壌水分が不足し、作付けや生育に支障を来している。
主要生産州別に見ると、南東部のミナスジェライス州では、65%の作付けが終了しており、第1期作の作付面積が前年度比1.6%増と見込まれている。また、南部のパラナ州では、穀物価格が良好であることから、作付面積が同2.0%増と見込まれている。同州では、すでに作付けが終了しているものの、その後の降水不足により、生育不良や再作付けなどの状況が生じており、単収が減少すると見込まれている。また、作付けが最終段階にある南部のリオグランデドスル州やサンタカタリナ州においても、作付面積がそれぞれ同2.1%増、同2.7%増となるものの、地域によっては降水不足により、発芽や生育の不良が見られ単収が低下すると見込まれている。
2020/21年度のトウモロコシの需給動向は、生産量が前年度並みとなる一方で、輸出量が50万トン、消費量が316万4900トンそれぞれ前年度を上回ると見込まれている。このため、トウモロコシの国内需給が引き締まり国内価格が上昇することから、前回より輸入量を上方修正している。期末在庫は、生産量が前回より下方修正されたことから、同30.4%減と前年度を大幅に下回るが、国内需要を賄う上で問題のない水準であるとしている。
大豆作付は最終段階を迎えており、作付面積は前年度比3.3%増の見込み
2020/21年度の大豆生産は、気候の変化で作付けの
進捗に影響があったが、ほとんどの地域において最終段階となっている。作付面積は、市場環境が良好であることから、前年度比3.3%増の3817万5800ヘクタールと見込まれている。生産量は、前回の公表より作付面積がわずかに減少したため50万2000トン下方修正されたものの、前年度比7.7%増の1億3445万1100トンと前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。このため、生産量は、前年度の記録を更新し過去最大になると見込まれている。
主要生産州別に見ると、最大の生産州である中西部のマットグロッソ州では、作付面積が前年度比3.1%増と前年度をやや上回ると見込まれている。同州では、9月〜10月の降水不足で作付けが大幅に遅れたが、10月中旬〜11月中旬に集中的に行われ、11月末時点で99.7%の作付けが完了した。また、南部では降水不足の地域が見られ、特にパラナ州では、この影響により2週間程度作付けが遅れている。
2020/21年度の大豆の需給動向は、生産量が増加する一方で、中国からの需要を背景に輸出が順調に進み、全体で8500万トン以上になると見込まれている。さらに、国内消費についても、輸出向けを中心とした食肉生産の増加やバイオディーゼルへの配合比率の引き上げにより需要が増加し、4900万トン以上になると見込まれることから、期末在庫は低水準になると見込まれている。
(注) 今回の発表では、2020/21年度のブラジルの大豆需給動向に関するデータは掲載されていない。
(調査情報部 井田 俊二)