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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2021年3月号

鶏卵卸売価格、6カ月連続で前年同月を下回る

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 令和3年1月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり142円(前年同月比28円安)と、6カ月連続で前年同月を下回った(図21)。
 

 
 例年、年末年始にかかる加工業者や量販店の休業などにより、産地に滞留した鶏卵が年明けの営業再開に伴い一斉に流通するため、年初の鶏卵相場の始値は大幅に下落する。その後、加工業者などによる買い入れが進み、荷余り状況が解消することにより、価格が上昇する傾向がある。
 3年の始値は、2年12月の終値(同185円)より65円安の同120円となり、その後上昇傾向で推移し、1月末には同160円まで回復した。
 供給面は、年末年始の生産調整に加え、昨年11月以降、高病原性鳥インフルエンザの発生が複数県で確認されていることもあり、供給量は抑えられたとみられる。今後については、生産調整後の鶏群の産卵再開により産卵量は増加するが、高病原性鳥インフルエンザの発生が続いていることから見通しは不透明な状況となっている。
 需要面は、東京都などを対象とした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急事態宣言の影響により、業務・外食用の荷動きが鈍化したとみられる。今後も、緊急事態宣言の影響により業務・外食用需要は引き続き低調で推移する一方、巣ごもり需要の継続が見込まれる。
 なお、こうした状況の中、成鶏更新・空舎延長事業(注)が1月5日〜2月3日にかけて再発動した(奨励金交付対象となる成鶏の出荷期間は2年12月6日〜3年2月3日)。

(注) 鶏卵生産者経営安定対策事業の一つであり、一般社団法人日本養鶏協会が実施する事業。同事業は、鶏卵の標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を下回った日の30日前から標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。

卵用鶏の種鶏の初生ひなめす輸入羽数は前年比減
 わが国で飼養される実用鶏(コマーシャル鶏)は、その多くが外国鶏であり、諸外国から原種鶏、種鶏、実用鶏を輸入している。このうち、輸入羽数が最も多いのは種鶏となっている。
 農林水産省動物検疫所が公表した令和2年(1〜12月)の「初生ひな(鶏)国別輸入状況」によると、原種鶏初生ひな(卵用鶏・めす)の輸入羽数は、2万7003羽(前年比50.5%増)と前年を大幅に上回った。輸入先は、米国(1万8537羽)およびカナダ(8466羽)の2カ国であった(図22)。一方、種鶏初生ひな(卵用鶏・めす)の輸入羽数は、8万7584羽(同11.4%減)と前年をかなり大きく下回った。輸入先は、オランダ(7万8731羽)およびフランス(8853羽)の2カ国であった(図23)。
 



  輸入先において鳥インフルエンザが発生すると、初生ひなの輸入停止措置対象地域からの輸入が停止されることから、輸入先を他国へ切り替えることもある。このため、各年の国別構成比は異なるものの、種鶏初生ひな(卵用鶏・めす)の輸入羽数は9万羽前後で推移している。なお、現在、欧州ではオランダをはじめ複数の国で鳥インフルエンザの発生が確認されており、今後の発生状況を注視する必要がある。

(畜産振興部 前田 絵梨)