11月の豚肉輸出量、前年同月比1.5%増
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2020年11月の豚肉輸出量は28万7000トン(前年同月比1.5%増)と前年同月をわずかに上回った(表3、図5)。輸出先別に見ると、中国・香港向けは、中国国内の豚肉生産が回復基調にあることから、ピーク時と比べてペースは鈍化しているものの、引き続き前年を上回って推移しており、7万7600トン(同3.6%増)となった。USDAは、中国の輸入豚肉需要は引き続き鈍化していくものと見込んでいる。
また、メキシコ向けについては、メキシコペソ高米ドル安基調を追い風に、このところ増加(同17.0%増)している。
一方、中国・香港、メキシコ以外の主要国向けについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のための規制などによる外食需要の低下、経済の悪化や各国の需給の混乱で前年同月を下回っている国が多い。
9〜11月の産子数、前年同期比1.4%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)の「Hogs and Pigs」(四半期報告)によると、2020年12月1日時点の豚飼養頭数は、繁殖豚や1腹当たり産子数(9〜11月)などが減少したことで、低重量の肥育豚を中心に前年同月を下回ったことから、全体では、前年同月比0.9%減の7750万2000頭となった(表4)。飼養頭数のうち、120〜179ポンド(54〜81キログラム)の肥育豚は同0.1%減、180ポンド(82キログラム)以上の肥育豚は同1.2%増となり、前回調査時(同年9月1日時点)の同6.1%増、同9.8%増から落ち着き、COVID-19の影響による食肉処理場の一時的な停止などに起因する余剰感はおおむね解消したとみられる。
また、9〜11月の分娩母豚頭数は前年同期比1.0%減の316万4000頭、1腹当たり産子数は同0.4%減の11.05頭といずれも前年同期をわずかに下回ったことから、産子数は同1.4%減の3497万3000頭となった。この減産の動きは、COVID-19による市場の混乱で先行きの不透明感が続いていることが一因とみられる。
飼養頭数の減少に伴い、肥育豚価格は秋口以降堅調に推移しているものの、外食需要が不振であることなどから、豚肉卸売価格は11月以降前年同月を下回って推移しており、パッカーの収益性は低下している(図6、7)。
(調査情報部 河村 侑紀)