11月の生乳出荷量は前年同月比1.1%増
欧州委員会によると、2020年11月の生乳出荷量(EU27カ国)は、前年同月をわずかに上回る1108万8660トン(前年同月比1.1%増)となった(図18)。また、同年1〜11月の累計では、1億3298万4600トン(前年同期比1.3%増)となった(表11)。
11月の出荷量を国別に見ると、ドイツ(前年同月比0.5%減)、フランス(同0.4%減)が前年同月を下回った一方で、オランダ(同0.4%増)、ポーランド(同1.5%増)、イタリア(同3.8%増)、アイルランド(同8.6%増)、スペイン(同1.7%増)、デンマーク(同1.5%増)、ベルギー(同2.4%増)は前年同月を上回った。
欧州委員会が12月に公表した農畜産物の中期見通し「EU AGRICULTURAL OUTLOOK FOR MARKETS, INCOME AND ENVIRONMENT 2020?2030」によると、EU27カ国の生乳出荷量の年平均成長率について、2010〜20年は1.6%となった一方、2020〜30年は0.8%にとどまるものの、今後も上昇傾向で推移していくと見込まれている。その結果、2030年の生乳出荷量は、1億5572万トンと予想されている。
なお、同見通しの中で、乳牛1頭当たりの生乳生産量は2020年に7411キログラムだったものが、2030年には8302キログラムに到達すると予想されている。
2020年1〜11月のチーズの輸出量は前年同期比7.4%増
欧州委員会によると、1〜11月のチーズのEU域外向け(英国を除く)輸出量は、83万840トン(前年同期比7.4%増)となった(表12)。輸出先別に見ると、日本は11万7508トン(同12.6%増)、スイスは6万3537トン(同11.4%増)、韓国は4万8176トン(同26.7%増)、ウクライナは4万2495トン(同約2.0倍)と増加した一方、主要輸出先の中で米国は10万8181トン(同12.2%減)と減少した。日本向けの輸出量は年々増加しており、2020年は、米国を抜いて最大の輸出先となっている。
中期見通しの中で、2030年にはチーズ輸出量が2020年比25.3%増の177万2249トンとなると見込まれている。今後は、日本、中国に加え、フードサービスの拡大などにより、東南アジアなどからの需要が増えるとともに、東南アジアなどの経済成長もEU産の高品質なチーズの需要を支えるとした。このようなことから、チーズの輸出量は2030年まで増加傾向で推移していくことが見込まれている。
(調査情報部 小林 智也)