12月の生乳生産量、前年同月並みに回復
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2020/21年度(6月〜翌5月)12月の生乳生産量は、274万1000トン(前年同月比0.7%増)と前年同月をわずかに上回った(図19)。現地報道では、前年比で増産となったのは、11月から12月にかけて牧草の生育状況が平年よりも良好だったためであるとしている。一方、ほとんどの地域で牧草の生育が順調な中、北島の一部では乾燥状態が進み始めていることから2月の生産量に影響が出る可能性があるという。
12月の乳製品輸出量、チーズを除く主要3品目が減少
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2020年12月の乳製品主要4品目(脱脂粉乳、全粉乳、バターおよびバターオイル、チーズ)の輸出量は、チーズを除く3品目で前年同月を下回った(表13、図20)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は3万9887トン(前年同月比17.0%減)と大幅に減少した。このうち、中国向けは2万4931トン(同10.0%増)とかなりの程度増加した一方、マレーシア向けが同38.0%減となったほか、日本向けも同22.0%減と大幅に減少したことなどから、全体では減少となった。全粉乳は、18万6285トン(同12.4%減)とかなり大きく減少した。このうち、中国向けは前年同月比8.7%減とかなりの程度、マレーシア向けは同13.2%減とかなり大きく、いずれも減少した。バターおよびバターオイルは、4万5147トン(同11.6%減)とかなり大きく減少した。米国向けが同11.6%増と前年同月をかなり大きく上回った一方、中国向けは同33.5%減と前年同月を大幅に下回った。チーズは、3万8110トン(同12.2%増)と2カ月連続で前年同月をかなり大きく上回った。韓国、豪州、日本向けなどが前年同月を下回った一方、中国向けは同89.2%増と大幅に増加した。
乳製品国際価格、脱脂粉乳は2020年1月以来の3000米ドル台に回復
2021年1月19日に開催された、乳製品の国際価格の指標の一つであるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表14、図21)。前回開催(1月5日)時と比較すると、中国など北アジアからの買い付けが増加したことにより、すべての品目で前回の落札価格を上回って取引された。
脱脂粉乳については、前回比6.5%高の1トン当たり3243米ドル(34万1000円)となった。3000米ドル台に回復したのは2020年1月以来で、現地報道では、特に中国の需要が急増したためとしており、同国国内の在庫が不足しているという報道後、取引が増加したという。
全粉乳は、同2.2%高の同3380米ドル(35万5000円)となった。北アジア
(注)からの取引が増加した以外にも、アフリカ、中南米などの需要が前回よりも高まった。
バターは、同4.6%高の同4735米ドル(49万7000円)で、北アジアからの取引が最も多かったほか、中東からの取引が前回から増加したため、価格はやや上昇した。
また、チーズは、同0.1%高の同4082米ドル(42万9000円)と前回並みとなった。
(注) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 廣田 李花子)