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国内の需給動向【令和2年の牛および豚枝肉の格付結果】 畜産の情報 2021年4月号

令和2年の牛および豚枝肉の格付結果

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 公益社団法人日本食肉格付協会は、令和2年(1〜12月)の「牛枝肉格付結果(品種別・性別)」および「豚枝肉格付結果」(令和3年1月19日版)を公表した。
 牛枝肉の格付実施率は、成牛のと畜頭数(104万7364頭)に対して85.2%と、前年から0.2ポイント減少した一方、豚枝肉の格付実施率は、と畜頭数(1669万950頭)に対して76.2%と前年から0.1ポイント増加した。以下、畜種ごとの格付結果を紹介する。
 

【牛肉】 「A−5」の格付頭数は15等級の中で最多に

 2年の牛枝肉の総格付頭数は、同年の成牛のと畜頭数(前年比0.8%増)が増加したことから、89万2321頭(同0.6%増)と前年をわずかに上回った。品種別の格付頭数を見ると、「和牛」(45万8752頭)は前年比4.4%増、外国種などを含む「その他の牛」(1万3483頭)は同16.3%増と前年を上回った一方、「交雑牛」(21万5063.5頭)は同4.2%減、「乳用牛」(20万5022.5頭)は同3.2%減と前年を下回った。
 牛肉は、枝肉の状態で、「歩留等級(A〜C)」と「肉質等級(5〜1)」を組み合わせた15段階で格付されている。歩留等級とは、枝肉から得られる部分肉の割合を評価し、部分肉歩留が標準より良いものはA、標準のものはB、標準より劣るものはCと判定される。また、肉質等級とは、(1)脂肪交雑(サシ)(2)肉の色沢(3)肉の締まりおよびきめ(4)脂肪の色沢と質―の4項目を5段階で評価し、四つの項目中、最も低い等級が肉質等級として判定される。
 2年の国産牛全体における等級ごとの格付頭数の推移を見ると、「A−5」が19万8093頭(前年比14.3%増)と前年をかなり大きく上回り、前年まで最多だった「B−2」と逆転し、15等級の中で最多となった(図11)。全体に占める割合は、22.2%となり、前年から2.7ポイント増加した。「A−5」の内訳を見ると、和牛去勢が64.6%、和牛めすが34.7%と、和牛で99%を超えており、「A−5」の増加は、そのほとんどを占める和牛の増加によるものとみられる。
 
 
 「B−2」は平成25年をピークに減少が続いており、16万4984頭(前年比6.1%減)と前年をかなりの程度下回った。「B−2」のうち約5割を乳用牛去勢が、約3割を交雑牛が占めており、乳用牛および交雑牛の格付頭数の減少が「B−2」の減少の主な要因の一つとみられる。
 全体に占める「A等級」の割合は48.7%と、平成23年と比較すると6.6ポイント増加した(図12)。また、全体に占める「5等級」の割合は22.7%と23年から14.7ポイント、「4等級」は21.8%と23年から3.0ポイントそれぞれ増加した(図13)。家畜改良の進展や肉質向上に向けた生産者の取り組みなどにより、肉質が向上している。
 

 
 

 品種別・性別の格付頭数を見ると、和牛去勢が25万8392頭(同5.1%増)と最も多く、次いで和牛めすが20万174頭(同3.6%増)、乳用牛去勢が15万6812.5頭(同3.7%減)、交雑牛去勢は11万4323頭(同4.1%減)、交雑牛めすは10万731.5頭(同4.3%減)となった(図14)。
 
 
 なお、品種別の割合は、和牛が51.4%(1.9ポイント増)、乳用牛が23.0%(0.9ポイント減)、交雑牛が24.1%(1.2ポイント減)、その他の牛が1.5%(0.2ポイント増)となった。
 2年の品種別・性別ごとの格付構成割合を見ると、和牛去勢は、「A−5」が49.5%と、前年から3.6ポイント増加し過半に近づいた一方、「A−4」は33.8%と同1.5ポイント、「A−3」は10.0%と同0.9ポイントいずれも減少した(図15)。平成23年からの推移を見ると、同年においては「A−4」の35.7%に次いで「A−3」が25.8%、「A−5」が17.5%の順だったが、「A−3」の割合が年々低下する一方で「A−5」の割合は着実に上昇し、30年以降は「A−4」を抜いて「A−5」が首位となり、今や半分を占める状況となっている。
 交雑牛去勢は、父方である和牛の遺伝的改良の進展などを反映し、肉質等級が年々向上する傾向にある。2年は、「B−3」が最も多く、37.8%と前年並みとなった。また、割合が拡大傾向にある「B−4」は14.1%と同0.5ポイント増加した一方、「B−2」は20.6%と同1.1ポイント減少した(図16)。
 乳用牛去勢は、「B−2」は平成28年以降減少傾向で推移しているのに対し、「C−2」は上昇傾向で推移しており、2年は、「B−2」は52.8%と同0.4ポイント減少した一方、「C−2」は42.8%と前年並みとなった(図17)。
 

 
 
 
 

【豚肉】 2年の格付構成比、「上」が48.9%、「中」が34.1%

 豚肉は、枝肉の重量および背脂肪の厚さ、外観(均称、肉づき、脂肪付着、仕上げ)、肉質(肉の締まりおよびきめ、肉の色沢、脂肪の色沢と質、脂肪の沈着)の基準に照らして、「極上」、「上」、「中」、「並」、「等外」の5等級に格付される。
 2年の豚枝肉の総格付頭数は、と畜頭数(前年比2.3%増)が増加したことから、1272万6156頭(同2.5%増)と前年をわずかに上回った。等級別の格付頭数を見ると、「上」が622万2968頭(同2.3%増)と最も多く、次いで「中」が434万5009頭(同3.5%増)、「並」が159万382頭(同1.8%増)、「等外」が51万7389頭(同4.9%減)、「極上」は5万408頭(同68.2%増)となった(図18)。
 2年の等級別の格付構成比を見ると、「上」が48.9%(0.1ポイント減)と最も多く、次いで「中」が34.1%(0.3ポイント増)、「並」が12.5%(0.1ポイント減)、「等外」が4.1%(0.3ポイント減)、「極上」が0.4%(0.2ポイント増)となり、構成比に大きな変化は見られなかった(図19)。
 



 
 
(畜産振興部 前田 絵梨)