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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2021年4月号

令和2年の1人当たりバター支出金額、前年比25.4%増

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令和3年1月乳製品向け処理量は、例年並みの水準
 令和3年1月の全国の生乳生産量は、62万8123トン(前年同月比0.5%増)と前年同月をわずかに上回った(図24)。地域別に見ると、北海道は35万449トン(同1.4%増)と引き続き前年同月を上回って推移する一方、都府県は27万7674トン(同0.5%減)と4カ月ぶりに前年同月を下回った。
 
 
 令和3年1月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは32万8375トン(同0.9%増)とわずかに増加した。業務用向けが低調な外食需要などから2万3616トン(同14.1%減)と減少が続く一方、家庭内消費の増加などから直接飲用等向け(注1)は30万4759トン(同2.3%増)と引き続き前年同月を上回った。
 乳製品向けは、クリーム向けが5万2877トン(同6.9%減)と前年同月をかなりの程度下回ったものの、脱脂粉乳・バター等向けが16万2268トン(同5.1%増)と前年同月をやや上回ったことなどから、29万6010トン(同0.1%増)と前年並みの水準となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。

(注1) 直接飲用等向けは、牛乳等向けから業務用向けを引いて算出。

緊急事態宣言の再発令下で家庭用バターの需要増が続く
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が年末年始を経て高水準で推移したことを受けて、政府は令和3年1月7日、1都3県を対象に緊急事態宣言を発令し、同月13日には対象区域を合計11都府県に拡大した(注2)。今回の緊急事態宣言は、前年4月に発令された1回目と比べ、対象区域が限定されたことや学校給食用牛乳の供給停止措置なども行われていないことから、牛乳・乳製品需給について、大幅な緩和などの影響は現時点では見られていない。しかし、飲食店の営業時間短縮要請などに伴い、業務用需要は引き続き低調に推移している。
 一方で、家庭用バターについては、需要の増加が継続している。当機構の調査による小売店1店舗当たりのバター販売重量を見ると、昨年末の動きと同様、令和3年1月は前年同期を2〜3割程度上回って推移した(図25)。
 
 
 こうした中で、乳業各社による家庭用バターの供給増から、昨年夏以降、大幅な欠品は生じておらず、当機構の店頭調査結果では、バターの陳列率はほぼ100%となっている。なお、当機構が国内乳業メーカーなど13社を対象に実施している「形態別バターの需給量」調査によると、直近(1月末時点)の家庭用バター在庫量は2244トン(前年同期比30.5%増)と、前年同期を大幅に上回っており、引き続き十分な供給数量が確保されている。

(注2) 令和3年1月7日に東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の1都3県に、同13日に大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、岐阜県、福岡県、栃木県の7府県に発令された。 その後、順次対象区域が変更され、3月5日時点で1都3県について、3月21日までの期間とされている。

令和2年の1人当たり牛乳・乳製品支出金額、巣ごもり需要で増加
 総務省「家計調査」によると、令和2年(1〜12月)の全国1人当たりの牛乳・乳製品の支出金額は1万3347円(前年比7.6%増)となり、2年連続で前年を上回る最高水準で推移している(図26)。
 内訳を見ると、平成29年から減少傾向にあったヨーグルトは、コロナ禍での免疫力向上の効果が期待されたことなどにより需要が増加したため、4746円(同7.1%増)と前年をかなりの程度上回った。また、緊急事態宣言の発令に伴う巣ごもり需要により、支出金額全体の約4割を占める牛乳が5388円(同5.5%増)とやや増加し、さらに、チーズが2301円(同13.1%増)、バターが474円(同25.4%増)といずれも前年を大幅に上回った。特にバターは、4月から5月にかけて前年をそれぞれ67.6%、45.2%上回り、緊急事態宣言下で需要が集中的に増加した(図27) 。
 


 
 牛乳・乳製品以外では、昨春以降の巣ごもり需要の影響を受けて、アイスクリーム・シャーベットが3428円(同5.0%増)とやや増加した。一方、カフェラテなどのコーヒー飲料は、在宅勤務者の増加に伴い自動販売機やオフィス街などのコンビニエンスストアの利用客数が減少したことなどから、1626円(同3.4%減)とやや減少した。なお、同調査の平成29年から令和元年の都市部の品目別1世帯当たりの平均支出金額を見ると、バターおよびチーズについては、東京都区部と川崎市、横浜市で上位3位を占めるなど首都圏での支出が目立った。一方で、牛乳とヨーグルトに関しては、それぞれ鳥取市や盛岡市が首位となるなど、地方都市での支出が目立つ結果となった(表1)。
 

 
(酪農乳業部 鈴木 香椰)