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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2021年4月号

鶏卵卸売価格、前年同月を下回るも上昇

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 令和3年2月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり183円(前年同月比2円安)となった(図28)。
 同価格は、例年、最需要期の12月に向けて上昇した後、年明けに下落し、春先に向けて再び上昇する傾向がある。同価格は、7カ月連続で前年同月を下回ったものの、前月からの上昇幅は、当該年を含む直近5カ年の中では最も大きくなった。
 

 今後について、供給面では、高病原性鳥インフルエンザの発生が続いていることから見通しは不透明な状況となっている。需要面では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、業務・外食用需要は低調に推移しているものの、外食チェーンでの卵を利用した季節メニューの展開による需要の喚起が期待される。また、巣ごもり需要の継続による内食需要は引き続き堅調に推移するものとみられる。

2年の鶏卵輸出量は前年比2.1倍
 農林水産省が取りまとめた「2020年の農林水産物・食品の輸出実績」(令和3年2月5日公表)によると、2020年(令和2年)の農林水産物・食品の輸出額は9223億円となり、8年連続で過去最高額を更新し、農産物は6565億円(前年比11.7%増)となった。この中で、鶏卵(24億円増)は、かつお・まぐろ類(51億円増)、アルコール飲料(49億円増)、牛乳・乳製品(38億円増)、清涼飲料水(38億円増)と並び、輸出額の増加が大きい主な品目の一つと報告されている。
 近年、鶏卵の輸出量は、生食できる卵としての品質が評価され、増加傾向で推移しており、令和2年は、COVID-19の影響で、輸出額のうちほとんどを占める香港において内食化が進んだことや、香港の主な輸入先からの輸入が減少したことなどから、鶏卵(殻付き卵)の輸出量は1万8128トン(前年比2.1倍)、輸出額は45億8729万円(同2.1倍)となった(図29)。
 
 
 輸出先を見ると、香港(1万7779トン、44億6315万円)、シンガポール(273トン、1億166万円)のほか、台湾、マカオ、グアム(米国)に輸出されており、輸出量の98%が香港向けとなっている。
 このような中、農林水産省は、令和2年11月に取りまとめた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」で、マーケットインの発想に基づく輸出産地の育成・展開を図るため、主として輸出向けの生産を行う輸出産地を令和2年度中にリスト化し、輸出産地の形成に必要な施設整備などを重点的に支援するとしていた。このほど、輸出産地リスト(2月16日掲載)が公表された。当該リストには23品目353産地が掲載されており、鶏卵では6産地となっている(表2)。
 今後、輸出産地においては、「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律(令和元年法律第57号)」に基づく輸出事業計画を必要に応じ策定し、産地ごとの輸出目標やその実行のための課題と対策を明確化していくこととなっている。これらの取り組みが、今後の輸出拡大につながるものと期待される。
 

 
 
(畜産振興部 前田 絵梨)