東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は軟調に推移
豪州の肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2021年1月28日に枝肉1キログラム当たり888.25豪セント(728円:1豪ドル=82円)と過去25年間での最高値を記録したが、その後は軟調に推移している(図1)。 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2月4日までの1週間にEYCIの対象となった若齢牛は1万8592頭と、2020年1月の1週間当たりの平均である1万545頭を大幅に上回っており、生産者が高値の恩恵にあずかろうと若齢牛の出荷を急いでいることが示唆されている。しかし、MLAは、若齢牛の供給は増えているものの、サプライチェーン内での生体牛の取り扱いシェアを維持しようとするバイヤーの需要が強いことから、価格には大きな影響が出ていないとしている。
2020年9〜12月期のフィードロット飼養頭数はわずかに増加
豪州フィードロット協会(ALFA)とMLAは2021年2月17日、共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2020年9〜12月期)をそれぞれ公表した。これによると、最も飼養頭数の多いクイーンズランド州では、前回比0.5%減の58万8692頭とわずかに減少したものの、その他のすべての州で増加したことから、豪州全体でも同3.8%増の104万8306頭と増加した(表4、図2)。MLAは、2020年は年間を通じて南部諸州の気候条件が改善に向かったことと、クイーンズランド州で12月に降雨に恵まれたことで草地の状態が改善されたことが主な要因であるとしている。
また、フィードロット収容可能頭数は、144万5136頭とほぼ横ばいで推移していることから、フィードロットの稼働率は前回を2.8ポイント上回り、72.5%と回復している。
2021年1月の牛肉輸出量は前年同月比37.4%減
豪州農業・水・環境省(DAWE)によると、2021年1月の牛肉輸出量は、4万9604トン(前年同月比37.4%減)と大幅に減少した(表5)。豪州産牛肉は、クリスマス期間の工場閉鎖や年明け以降の需要減に伴い、1月の輸出量が年間で最も少なくなるが、今年は特に低い水準となっている。
輸出先別に見ると、最大の仕向け先である日本向けは、前年同月比31.5%減の1万2541トンと大幅に減少した。この内訳としては、穀物肥育牛肉が7391トン、牧草肥育牛肉が5150トンとなっており、2020年4月から継続して穀物肥育牛肉が牧草肥育牛肉の数量を上回っている(図3)。
中国では、本年は2月11日から春節(旧正月)が始まり、通常であれば、1月には春節に向けて豪州産牛肉の需要が高まるが、本年1月の中国向け輸出量は9167トン(同56.4%減)にとどまった。なお、昨年、中国は豪州の一部の食肉処理施設に対して輸入停止措置を講じたが、この措置は依然として解除されておらず、解除のめども立っていない。
米国向けも7061トン(同55.0%減)と大幅に減少している。現地報道によると、過去30年間の月間輸出量としては最も低い水準であり、これは米国産に比べ相対的に豪州産が高値であることが反映されているとしている。
EU向けも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の規制の影響を受けた外食産業からの需要減などにより、536トン(同36.5%減)と大幅に減少した。
(調査情報部 国際調査グループ)