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海外の需給動向【鶏肉/中国】  畜産の情報  2021年4月号

引き続く需要増により、輸入は大幅増

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2020年の鶏肉生産量は増加
 2019年は、アフリカ豚熱の影響により豚肉生産量が減少し、家きん肉の代替消費が増加したことから、2020年の家きん肉生産量は増加した。中国国家統計局によると、同年の家きん肉生産量は前年比5.5%増の2361万トンであった。
家きん肉生産量のうち約6割が鶏肉であるが(注)、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、同年の鶏肉生産量を同6.2%増の1460万トンとしている(表10)。

(注) 鶏肉の生産割合については『畜産の情報』2020年5月号「中国の肉用鶏産業の現状と鶏肉需給の見通し」2 肉用鶏産業の概要(1)家きん産業における肉用鶏産業の位置付け(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001123.html#title3)を参照されたい。
 

 
飼料価格が上昇するも鶏肉価格は下降傾向にあり、生産は不安定
 鶏肉の増産により2020年の鶏肉価格は下降傾向で推移していたが、2021年に入り、春節(本年は2月11〜17日)需要により上昇に転じた(図18)。中国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が再拡大しており、帰省の自粛を求められていたが、鶏肉消費には大きな影響がなかったと言える。
  中国では、2020年下半期以降、豚飼養頭数の増加により飼料需要が急増し、飼料価格が上昇傾向にある。一方、鶏肉価格は、春節需要などによる一時的な上昇はあるものの、概して下降傾向にあるため、収益がマイナスとなった養鶏企業もあるという。このため、今後も鶏肉生産は安定して推移するとは言い難く、また豚肉の増産が進んでいるものの、豚肉価格は高止まりしており、鶏肉への需要のシフトが継続するものと考えられるため、しばらくは鶏肉価格がアフリカ豚熱発生前の水準までは低下しないと考えられる。


 
米国、ロシアを中心に鶏肉輸入量が増加
 鶏肉生産量は増加したものの、需要に追い付かなかったため、2020年の冷凍鶏肉輸入量は前年比約2倍の151万4106トンとなった(表11)。特に、第一段階の米中経済貿易協定により農産物の輸入を増やすとした米国や、距離的優位性があり「一帯一路」政策に沿うロシアからの輸入の増加が顕著であり、この2カ国については今後も輸入が伸びる可能性が高いと考えられる。

 
鶏肉調製品輸出量は輸入国の需要減により大きく減少
 2020年の鶏肉調製品の輸出量は、最大の輸出先である日本向けが前年比16.4%減と2016年の水準まで落ち込むなど、香港を除く主だった輸入先でCOVID-19の影響により減少し、全体で同13.2%減の22万6750トンとかなり大きく減少した(表12)。輸入先ではCOVID-19収束の見込みが立っていないため、すぐに輸出量が回復するとは考えにくい。

 
(調査情報部 寺西 梨衣)