畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 乳製品国際取引価格、上昇基調が継続

海外の需給動向【牛乳・乳製品/NZ】 畜産の情報  2021年4月号

乳製品国際取引価格、上昇基調が継続

印刷ページ
1月の生乳生産量、前年同月並みを維持
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2020/21年度(6月〜翌5月)1月の生乳生産量は、247万4000トン(前年同月比0.8%増)と2カ月連続で前年同月並みとなった(図23)。現地報道では、全国的に土壌が例年よりも乾燥状態にあり、昨年末以降、北島で見られていた乾燥状態が、南島の東側の一部でも進んでいるものの、3月は適度な降雨が予想されており、牧草の生育に大きな影響は出ないとされている。

 
1月の中国向けチーズ輸出量、2カ月連続で大幅増
 ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2021年1月の乳製品主要4品目(脱脂粉乳、全粉乳、バターおよびバターオイル、チーズ)の輸出量は、脱脂粉乳を除く3品目で前年同月を上回った(表17、図24)。



 
 品目別に見ると、脱脂粉乳は3万2825トン(前年同月比22.3%減)と大幅に減少した。このうち、主要輸出先である中国向けは1万2756トン(同10.4%増)とかなりの程度増加した一方、マレーシア向けは同33.6%減(1760トン)、フィリピン向けは同59.8%減(1306トン)と大幅に減少したことなどから、全体では減少となった。
 全粉乳は、15万3380トン(同6.6%増)とかなりの程度増加した。このうち、中国向けは前年同月比48.7%増(6万2771トン)と大幅に増加した一方、アラブ首長国連邦向けは同11.9%減(1万2178トン)、日本向けも同22.5%減(270トン)といずれも減少した。
 バターおよびバターオイルは、4万4952トン(同1.3%増)と4カ月ぶりに前年同月を上回った。中国向けが同5.2%増(8720トン)と前年同月をやや上回った一方、米国向けは同27.1%減(1622トン)、日本向けは同23.3%減(1595トン)といずれも前年同月を大幅に下回った。
 チーズは、3万7499トン(同12.6%増)と3カ月連続で前年同月をかなり大きく上回った。韓国、日本向けなどが前年同月を下回った一方、中国向けは同83.0%増(9533トン)と12月に続き2カ月連続で前年同月比8割以上の増加となった。

全粉乳国際価格、2014年以来の価格に回復
 2021年2月16日に開催されたグローバルデーリートレード(GDT:乳製品の国際価格の指標の一つであるフォンテラ社主催の電子オークション。月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、中国や東南アジアからの応札が増加したことにより、前回開催時(2月2日)と比較し、すべての品目で前回の落札価格を上回った(表18、図25)。



 
 脱脂粉乳は、現地報道で中国からの応札が増えたことが報じられたが、これ以外にも東南アジアやオセアニアからの応札が増加したとし、前回比0.3%高の1トン当たり3207米ドル(34万3000円)となった。全粉乳は、中国以外にも、アフリカ、中南米、EU、オセアニアからの応札が前回より増加し、2014年6月以来の3600米ドル超えとなる、同4.5%高の同3615米ドル(38万7000円)となった。
 バターは、北アジアからの応札が最も多かったほか、EUからの応札が前回から増加し、同2.0%高の同5129米ドル(54万9000円)となった。
 また、チーズは、北アジア(注)のほかアフリカ、東南アジア、オセアニアからの応札が増加し、同2.2%高の4268米ドル(45万7000円)とわずかに上昇した。

(注) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。

(調査情報部 廣田 李花子)