フィードロット飼養頭数、記録的水準を維持
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS) が2021年3 月19日に公表した「Cattle on Feed」によると、2月のフィードロット導入頭数は前年同月比1.9%減の168万4000頭と前年同月をわずかに下回った。また、出荷頭数は同2.4%減の173万2000頭と前年をわずかに下回った。
この結果、本年3月1日現在のフィードロット飼養頭数は、同1.6%増の1200万頭となり、8カ月連続で前年同月を上回った(図1)。3月は、前述の通り導入頭数よりも出荷頭数が多かったことから前月比では10万6000頭の減少となったものの、昨秋以降の繰り越し頭数が多かったことから、記録的な高水準が維持される結果となった。
1月の牛肉輸出量、中国向けが大幅に増加
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2021年1月の牛肉輸出量は前年同月比0.4%増の11万1599トンとなり、4カ月連続で増加した(表1)。
主要輸出先別に見ると、首位の韓国向けは前年同月比26.3%増の2万7138トン、第4位のカナダ向けも同8.2%増の1万1883トンと前年を上回ったが、第2位の日本向けは同11.4%減の2万6734トン、第3位のメキシコ向けも同16.8%減の1万4569トンと前年を下回った。
また、中国向けは、昨年7月以降、6カ月連続で過去最多を記録していたが、2021年1月は前月である2020年12月の同数量を下回った。しかし前年同月比で見ると同8.6倍となる1万218トンと依然として大幅な増加ペースが継続している。
こうした状況について、米国食肉輸出連合会(USMEF)は、「1月は韓国、カナダ、中東向けが好調であり、中国向けの輸出も増加しているが、日本、メキシコ、台湾向けは減少した。主要な輸出先では、小売店での赤身肉(牛肉、豚肉)に対する需要が引き続き堅調な中、今後はさらに多くの地域でフードサービス需要が回復すると予想されていることから、2021年の輸出量は楽観的に見通している」とコメントしている。
また、「物流面では輸送網の混乱が懸念事項となっている。(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により)労働者が不足している状況にもかかわらず記録的な貨物量を処理している米国西海岸の港において、貨物の滞留や輸送コンテナ不足は深刻な状況である。また、食肉処理場においても労働力は貴重であり、専門技術を必要とする肉のカットやバラエティミート部門で労働力が不足しており、それらの需要に対して十分に応えることができていない状況にある」としている。
韓国向けについては、「1月の韓国向け牛肉輸出は非常に好調な幕開けとなった。米韓自由貿易協定に基づき、1月1日からさらに米国産牛肉に対する関税率が引き下げられた。本協定締結前の同関税率は40%であったが、現在は協定締結前の約3分の1となる13.3%であり、2026年までに関税は完全撤廃される予定となっている。2021年に韓国が輸入牛肉に対して賦課している関税率は、対豪州が18.6%、対中国が21.3%であり、対米国は関税面で優位に立っている」と分析している。
さらに、日本向けについては、「1月上旬、日本の主要都市の多くでCOVID-19の流行により緊急事態宣言が発令され、レストランやカフェにおける営業時間の短縮が実施された。その後、これらの規制は一部の地域で緩和されたが、東京など首都圏では緊急事態宣言が継続された
(注1)。また、日本の米国産牛肉の輸入はセーフガードの影響を受けており、輸入業者がセーフガードの発動を避けるために輸入量を減らしている
(注2)」としている。
(注1)東京都など首都圏の1都3県を対象とした緊急事態宣言も、3月21日に解除された。
(注2)USMEFのプレスリリースは3月8日付けで公表され、日米貿易協定に基づく牛肉セーフガードは3月18日に発動された。
(調査情報部 藤原 琢也 (現酪農乳業部))