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海外の需給動向【豚肉/EU】  畜産の情報 2021年5月号

2020年の豚総飼養頭数は、前年比2.1%増

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スペインの総飼養頭数は前年比4.6%増
 欧州委員会によると、2020年12月時点のEU27カ国の豚総飼養頭数は、1億4620万頭(前年比2.1%増)となった(表6)。
 内訳を見ると、繁殖母豚は1128万頭(同0.5%減)、子豚(20キログラム未満)は4212万頭(同5.7%増)、肥育豚(50キログラム以上)は6123万頭(同3.0%増)となった。
 このような中、EU最大の飼養頭数を誇るスペインの総飼養頭数は、前年比4.6%増の3268万頭(EU全体に占める割合は22%)となり8年連続で増加した(図11)。第2位のドイツは同0.1%増の2607万頭(同18%)、第3 位のフランスは同2.7%増の1387万頭(同10%)となった。なお、上位10カ国で総飼養頭数の89%を占めている。
 欧州委員会は、3月30日に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、子豚、肥育豚の増加は2021年上半期の豚肉生産量の増加につながるとしている。
 

 

2020年の豚肉生産量は、前年比1.2%増
 欧州委員会によると、輸出需要が強かったことなどを受け、2020年の豚肉生産量は、前年比1.2%増の2303万6410トンとなった(表7)。
 主要生産国別に見ると、スペイン、オランダ、デンマークで増産となった一方、ドイツ、ポーランド、イタリアでは減産となった。
 EU最大の豚肉生産国であるドイツ(510万1000トン)は同2.4%減となり、4年連続で減少した。米国農務省によると、ドイツの養豚産業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって影響を受けるとともに、環境問題やアニマルウェルフェアへの対応および消費者の健康志向や価格優位性による鶏肉の消費増で豚肉消費量が減少したことが、生産量の減少の背景にあるとしている。
 第2位のスペイン(502万3540トン)は同8.2%増となり、7年連続で増加となった。同国はCOVID-19の混乱にもかかわらず、と畜場は通常通り稼働していたことから、国内外の需要を満たすことができた。また、ドイツが野生イノシシでのアフリカ豚熱の発生により、中国への輸出が停止したことから同国への輸出も増加したとしている。
 スペインが追い上げる中、2020年においても、ドイツはEU最大の豚肉生産国となったが、両国の生産量の差は大きく縮小している(図12)。
 なお、欧州委員会は、前述の短期的需給見通しの中で、2021年の豚肉生産量は、同0.7%増とわずかに増加するとしている。また、EU域内市場の供給量が増加することにより豚肉が利用しやすくなることから一人当たりの豚肉消費量は32.7キログラムと同1.4%増になると予想している。
 

 


 
(調査情報部 小林 智也)