2月の生乳生産量、前年同月をやや上回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2020/21年度(6月〜翌5月)の生乳生産量は、過去2カ月はほぼ前年同月並みであったものの、2月は193万2000トン(前年同月比3.0%増)と前年同月をやや上回った(図16)。現地報道では、前年に比べ、北島では夏場の牧草の生育が良好な状態が持続しており、2月ほどの増加は見込めないものの、3月の生乳生産も引き続き良好に推移するとの期待がもたれている。
また、近時の国際相場を踏まえた乳価上昇への期待などを背景に、生産者が濃厚飼料の給与を増やしたことも、増産要因の一つであると推測されている。
2月の中国向け輸出量は脱脂粉乳以外の品目で前年を上回る
ニュージーランド統計局(StatisticsNZ)によると、2021年2月の乳製品主要4品目(脱脂粉乳、全粉乳、バターおよびバターオイル、チーズ)の輸出量は、全粉乳、チーズが前年同月を上回り、脱脂粉乳、バターおよびバターオイルが前年同月を下回った(表9、図17)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は2万3893トン(前年同月比28.4%減)と3カ月連続で大幅に下回った。このうち、主要輸出先である中国向けが7898トン(同22.2%減)と大幅に減少し、マレーシア向け(1996トン、同4.6%減)およびフィリピン向け(1439トン、同17.2%減)も減少した。一方、日本向けが前年同月比では約7.5倍と大幅に増加したものの、実量では324トンしかないことから、全体では減少となった。
全粉乳は、14万3267トン(同3.5%増)と2カ月連続で前年同月を上回った。このうち、主要輸出先である中国向けが6万4364トン(同39.6%増)と大幅に増加したことから、アラブ首長国連邦向け(7133トン、同41.7%減)およびアルジェリア向け(5327トン、同45.3%減)が大幅に減少したものの全体では増加した。
バターおよびバターオイルは、3万6179トン(同13.5%減)とかなり大きく下回った。中国向けが8878トン(同14.7%増)とかなり大きく増加した一方、エジプト向け(1381トン、同48.6%減)および米国向け(1024トン、同65.5%減)が大幅に減少したことから、全体では減少した。
チーズは、2万9118トン(同5.1%増)と4カ月連続で前年同月を上回った。豪州向け(3467トン、同18.2%減)および韓国向け(2073トン、同19.3%減)が大幅に減少したものの、主要輸出先である中国向けが7437トン(同34.2%増)と大幅に増加したことから、増加割合は縮小したものの、全体では増加した。
GDT、想定以上の高値となった前回に比べ、やや弱含みで落札
2021年3月16日に開催されたグローバルデーリートレード(GDT:乳製品の国際価格の指標の一つであるフォンテラ社主催の電子オークション。月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、依然として需要は強いものの、上場数量が増加したことから、前回開催時(3月2日)に予想以上に高騰した全粉乳とバターを中心にやや弱含みの価格となり、脱脂粉乳以外の品目で前回の落札価格を下回った(表10、図18)。
脱脂粉乳は、現地報道によると北アジア
(注)からの応札が大部分を占めているとされ、前回比1.5%高の1トン当たり3350米ドル(37万5000円)となった。全粉乳は、前回よりも上場数量が増えたものの、北アジア、中東、中南米からの応札のみが増加し、同6.4%安の同4083米ドル(45万7000円)となった。バターは、北アジアからの応札が最も多く、中東、東南アジア、オセアニアからの応札で残りの数量を分け合う状況となり、同2.9%安の同5659米ドル(63万4000円)となった。また、チーズは、北アジア、東南アジア、オセアニアからの応札があり、同0.7%安の4250米ドル(47万6000円)となった。
今回のオークションにおいても北アジアからの需要が依然として強く、ほとんどの品目で落札数量の大半を北アジアが占めた。なお全粉乳は今回のオークションにおいて、高騰した前回に比較すると弱含みとなったものの、短期的には引き続き高値で推移すると予測されている。
(注)ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 海老沼 一出)