米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年3月9日、「Oilseeds:World Marketsand Trade」において、2020/21年度の世界の大豆需給予測値を、また同日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値をそれぞれ更新した。
これによると、2020/21年度の世界の大豆生産量は、全体で74万トン上方修正され、前年度比6.7%増の3億6182万トンとかなりの程度増加すると見込まれている(表13)。国別では、最大の生産国であるブラジルが、今回単収の増加などにより上方修正され、同4.3%増の1億3400万トンと2019/20年度に続き過去最多を更新すると見込まれている。なお、今回2019/20年度の生産量も250万トン上方修正された。2019/20年度の不作からの回復が見込まれる米国の生産量は、同16.4%増の1億1255万トンと見込まれている。また乾燥気候などの影響により前月まで繰り返し下方修正され、今回さらに単収の低下で50万トン下方修正されたアルゼンチンは、当初の予測から600万トン少ない同2.7%減の4750万トンと見込まれている。
輸出量は、大きな変更はなく全体で3万トン上方修正され、前年度比2.7%増の1億6972万トンと見込まれている。国別では、米国が、同33.8%増の6124万トンと前年度を大幅に上回ると見込まれている。これは中国向け輸出量の増加によるもので、2021年2月25日時点の同国向け輸出量は、前年同期の約3倍に増加し全体の約65%を占めている。また輸入量は、全体で6万トン下方修正され、同1.0%増の1億6690万トンと見込まれている。国別では、中国が1億トンと世界全体の6割を占めている。
消費量(搾油仕向量)は、大豆かすや大豆油の輸出が増加するアルゼンチンが120万トン、ブラジルが100万トンそれぞれ上方修正される一方、中国が100万トン下方修正されて、全体で160万トン上方修正され、前年度比4.0%増の3億2358万トンと見込まれている。国別では、アフリカ豚熱からの回復に伴い豚飼養頭数の回復が進む中国が、同7.1%増の9800万トンと前年度をかなりの程度上回っている。
期末在庫は、搾油仕向量が減少する中国が100万トン、また生産量が増加するブラジルが65万トンそれぞれ上方修正される一方、生産量が減少し搾油仕向量が増加するアルゼンチンが150万トン下方修正されて、全体で38万トン上方修正され、前年度比12.8%減の8374万トンと見込まれている。今年度は前月まで下方修正が続いたが、7カ月ぶりの上方修正となった。国別では、米国が前月と同様に同77.2%減の325万トンとなり、2013/14年度以来最低となることが見込まれている。一方中国は、同10.4%増の2960万トンと見込まれている。
(調査情報部 井田 俊二)