2月の牛肉輸出量、韓国、中国向けが増加する一方で日本向けは減少
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2021年2月の牛肉輸出量は11万3557トンとなり、前年同月比2.6%減とわずかに減少した(表1)。
主要輸出先別に見ると、首位の韓国向けが同6.6%増の3万264トンと好調に増加している。また、中国向けも同約14.8倍となる1万999トンと依然堅調に推移し、大幅に減少したカナダを抜いて輸出先として第4位になった。一方で、昨年12月までは輸出先として首位にあった日本向けは、同11.7%減の3万66トンとかなり大きく減少した。
こうした状況について、USDAの「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」では、以下のように分析している。
韓国向けの増加の背景としては、これまでの旺盛な需要に加え、牛群再構築中の豪州からの供給が限られていることが挙げられている。また、中国向けについては、米中経済貿易協定による市場アクセスが拡大されたことに加え、中国国内の豚肉供給不足から一部の消費者の志向が牛肉へシフトしたことで、引き続き高い牛肉需要が中国の牛肉輸入を支えていくであろうと予想している。一方、日本向けの減少については、米国産牛肉に対するセーフガードの発動を回避するために通関数量を減らしたためであるとしている。結果的に3月18日からセーフガードは発動されたものの、4月17日には日米貿易協定3年目の関税引き下げスケジュールに基づき、米国産牛肉に対する輸入関税は25%に引き下げられた。
フィードロット飼養頭数、引き続き高水準を維持
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2021年4月23日に公表した「Cattle on Feed」によると、3月のフィードロット導入頭数は前年同月比28.3%増の199万7000頭と前年同月を大幅に上回った。また、出荷頭数は同1.5%増の204万頭とわずかに前年同月を上回った。
この結果、2021年4月1日現在のフィードロット飼養頭数は、同5.3%増の1189万7000頭となり、9カ月連続で前年同月を上回った(図1)。上昇傾向にある肥育牛価格(図2)を要因に市場出荷が進んでいるとみられ、4月は、前述の通り導入頭数に比べ出荷頭数が多かった。このため、前月比では10万3000頭減と減少傾向で推移しているものの、依然高い水準を維持している。
寒波の影響により3月のと畜頭数増加
USDA/NASSが2021年4月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、3月の牛と畜頭数は、前年同月比2.5%増の294万6400頭となった(図3)。2021年3月は、前年同月に比べて食肉処理日が1日多かったことに加え、2月の寒波により、中断されていたと畜が再開されたことが影響している。
USDAによると、3月のと畜頭数は増加したものの、第1四半期のと畜頭数は前年同期比1.9%減の810万9800頭、牛肉生産量は同0.5%減の312万7610トンとなった。
(調査情報部 上村 照子)