4月の生乳生産量、前年同月比1.5%増
令和3年4月の生乳生産量は、64万3558トン(前年同月比1.5%増)と前年同月をわずかに上回った(図24)。地域別に見ると、北海道は35万1168トン(同1.8%増)、都府県も29万2390トン(同1.1%増)と、いずれも前年同月をわずかに上回り、堅調に推移した。
3年4月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは、32万7362トン(同4.1%増)と前年同月をやや上回った。これは、学校給食用や業務用の牛乳生産量が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって大きく減少した前年の反動により前年同月を大幅に上回る中で、家庭での直接飲用が減少したことによる。なお、業務用向け処理量については、2万5312トン(同17.4%増)と回復傾向にあるが、COVID-19拡大前の5カ年平均(平成27年〜令和元年)の水準には達していない(図25)。
乳製品向けは、31万2104トン(同1.2%減)と3カ月連続して前年同月を下回った。品目別に見ると、クリーム向けは、業務用需要が大幅に減少した前年の反動で5万7184トン(同21.8%増)と前年同月を大幅に上回り、チーズ向けも4万183トン(同3.5%増)と前年をやや上回った。一方で、脱脂粉乳・バター等向けは、昨年3〜5月にかけて、学校給食用牛乳生産量や乳製品の業務用需要が減少し、行き場を失う生乳の発生を回避するため脱脂粉乳・バターが大幅に増産されたことの反動もあり、16万8920トン(同7.9%減)と前年同月をかなりの程度下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
令和3年度の生乳生産量、前年同月比1.2%増の見込み
一般社団法人Jミルクは令和3年5月28日、「2021年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」を公表した。これによると、3年度の生乳生産量は、北海道で424万7000トン(前年度比2.1%増)と引き続き増産が見込まれ、都府県でも327万7000トン(同0.1%増)と2年連続で前年度を上回ることが見込まれている。このため、全国の生乳生産量は752万4000トン(同1.2%増)と3年連続の増産となり、9年ぶりに750万トンを超える見通しである(表)。
なお、3年度の乳用雌牛飼養頭数(搾乳牛頭数)を見ると、特に生乳生産を担う2歳以上については、今年度末には、北海道で約1万頭増加する一方、都府県では微減となるが、全国では増加するものと見込まれている。
また、生乳の用途別処理量の見通しとしては、飲用等向けは406万8000トン(同0.4%減)と例年並みの水準にとどまる一方、乳製品向けは4〜5月を除くすべての月で前年を上回り、341万1000トン(同3.3%増)と増産が見込まれている。内訳を見ると、脱脂粉乳・バター等向けは、上述の通り昨年のCOVID-19の影響による大幅な増産の反動で本年4〜5月のみ前年度を下回るが、6月以降のすべての月で前年同月を上回り、175万5000トン(同3.5%増)と見込まれている。また、生クリーム等向けは、前年度の業務用需要の低迷により減少した反動で10月を除くすべての月で前年を上回り、122万9000トン(同2.8%増)と見込まれている。
乳製品需給については、脱脂粉乳・バターの生産量が増加する中で、これらの在庫量は今年度末まで引き続き高水準で推移する見通しとなっており、国およびホクレンによる需要拡大対策が進められることになっている。
令和3年度のバターおよび脱脂粉乳輸入枠、1月時点から据え置き
農林水産省は5月28日、令和3年度の国家貿易によるバターおよび脱脂粉乳の輸入枠数量の検証結果を公表した。これによると、バターおよび脱脂粉乳の在庫量は必要な水準を満たすことから、本年1月に設定された輸入枠数量(バターは6400トン、脱脂粉乳は日米貿易協定に基づく750トン)は据え置かれることとなり、当機構が計画的な輸入を行う予定である。
(酪農乳業部 鈴木 香椰)